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2020/08/16

㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その3


”㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その1”
㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その2の続き

『さよなら、アドルフ』(2012年/オーストラリア・ドイツ・イギリス)★

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敗戦直後、それまでの常識も生活も一変し、ナチス高官の両親が出頭し、混乱と無秩序の中、幼い妹弟や乳飲み子を連れて子供たちだけで900km離れた祖母の家を目指す話。説明や台詞は少ない分、カメラの撮り方、目線や仕草や表情が、心の揺れや激しさを表現していて、胸が苦しくなる。ドキュメンタリー編で書いた『ヒトラーチルドレン/Hitler's Children』のデジャブを覚える。総統の死とともに、6人の幼い我が子を全員道連れで心中したゲッペルス夫婦を思い出してしまった。原作はレイチェル・シーファーの小説『暗闇のなかで』の中の『Lore』。

『ヒトラーの忘れもの』(2015年/デンマーク・ドイツ)★★★

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終戦直後、5年間のナチスの占領から解放されたデンマークで、ナチスが戦時中に海岸線に埋めた無数の地雷の撤去を捕虜となったドイツ軍にあたらせることになった。2000人を超えるドイツ軍捕虜が150万を上回る地雷を撤去し、約半数近くが死亡または重傷を負った、その多くが地雷の扱いも知らない、あどけなさを残す少年兵だったという実話が元になっている。占領国共通のナチスへの怒りや憎しみはどこまでも深く、それを受け止めるには彼らは幼すぎる。とてもいい映画。そして、どこまでも続く白い砂浜の海岸線が悲しいまでに美しい。

『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016年/チェコ・イギリス・フランス)★

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ナチス占領下のチェコスロバキアのレジスタンスとロンドンにいる亡命政府によるナチス高官ラインハルト・ハイドリヒの暗殺計画(エンスラポイド作戦)の実話。
観る気が失せるくらいの酷いタイトルだが、中身は、かなり硬派な映画。

『ディファイアンス』(2008年/アメリカ)★

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ナチス侵攻によるユダヤ人虐殺から逃れるため、ポーランド・ソ連国境地帯の西ベラルーシ(当時ポーランド)の森の中に入り、兄弟や仲間と共にパルチザンを作り、また多くの非戦闘員の老人や女子供を助け匿い、最大1200人のユダヤ同胞を率いたビエルスキ兄弟の実話を元に映画化。ソ連赤軍のパルチザンが、思っていた通りのロシア的な感じで良かった。Defianceとは「果敢な抵抗」の意味。

『愛を読むひと』(2008年/アメリカ・ドイツ)★★

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『朗読者』が原作(原作の感想はコチラ)。邦題のタイトルが気に入らないが、原作を読んでから見たので、余計に良かった。ケイト・ウィンスレッドの肉感と表情の演技が、なんとも素晴らしい。また、原作は主人公の視点で書かれているが、映画の方は原作にはないハンナ側の描写もある。最後のニューヨークでのシーンは、映画の方が断然良かった。会話がかなり違っているので、受ける印象も全く変わってくる。原作に沿う感じで足された台詞の中に、
人は“収容所で何を学んだか“と尋ねてきます。
収容所はセラピー?
それとも、一種の大学?
…学ぶことは何もない。それだけはハッキリ言える。
(劇中の会話より一部抜粋)
これは、プリーモ・レーヴィを受けているのかとも思った。『これが人間か』のあとがき『若い読者に答える』の中から引用。
“若くしてラーフェンスブリュックの女性収容所に入れられた私の友人は、収容所は私にとって大学でした、と語っている。私も同じことを言えると思う。つまりあの出来事を生き抜き、後に考え、書くことで、私は人間と世界について多くのことを学んだのだ。
しかしこうした前向きの結果はわずかな人にしか訪れなかったことを、すぐに付け加えておこう。”
(『これが人間か』あとがきより)

『杉原千畝』(2015年/日本)★

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過酷な戦争映画を観すぎたせいで、欧米のものに比べて、時代背景や切迫感が全く伝わらない映像だったが、杉原千畝の人物紹介的な意味ではわかりやすかったのかなとも思う…。個人的には、須賀しのぶ著『また、桜の国で』(感想は後日)を読んでからだと、ちょっと良いと思う。
“人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そしてむくいを求めぬよう”
(劇中に出てくる、哈爾浜学院のモットーである自治三訣。『また、桜の国で』にも何度か出てくる言葉)

『コレクター 暴かれたナチスの真実』(2016年/オランダ)★

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オランダで実際にあった、富豪の美術コレクターのナチスの戦争犯罪(ポーランドでの虐殺)裁判の映画。戦後、共産圏に分かれてしまったが故の国際事件としての証拠や司法の難しさや、権力や財力による圧力、根深い反ユダヤ主義など、地味な映画だったが、面白かった。


『マイ・リトル・ガーデン 』(1997年/イギリス)★

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国際アンデルセン賞受賞作家ウリ・オルレブの半自伝的小説『壁のむこうの街』を映画化。ナチス占領下のポーランドで数ヵ月間、たったひとりでナチスの目を逃れ、収容所へ連行後の廃墟のゲットーの中で奇跡的に生き残った11歳のユダヤ人少年の話。同じ様な状況下ではあるが、『戦場のピアニスト』とは異なり、圧倒的な絶望感がそれほどなくて良かった…

『Band Of Brothers(Ep1~10) 』 (2001年/アメリカ)★★★(+★★★)

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これについては以前(落下傘部隊)にも書いたのだが、ポーランド関係ではないが、第二次世界大戦におけるアメリカ陸軍第101空挺師団第506歩兵連隊第2大隊E中隊の訓練から対ナチスドイツ戦勝利・終戦までを描いたドキュメンタリードラマのシリーズもの。
連合軍最大の作戦、ノルマンディー上陸作戦(D-DAY)が皮切りになるのだが、この作戦に関するドキュメンタリーをいくつか観ていると、全体の作戦計画や進行過程、様子がわかる。それにしても良く成功したな…と思うくらいに過酷で無謀な作戦であり、また果てしない犠牲のもとの勝利であった。
戦争モノに“良い作品”は、もしかしたら作るべきではないのかもしれない。戦争には何もなく、ただ傷と罪と痛みを残すだけなのだから。
それでも、大切なモノを守るためにすべてを掛けて戦争に参加した人たちがいて、それで守られた人たちも沢山いる。正義を信じて戦った人たちの存在を蔑ろにし、彼らの犠牲や想いまでを否定することなど絶対に出来ない。そう考えたときに、やはりこういう“良い”と言える作品も必要なんだと思う。
色んな意味で非常にアメリカ的作りではあるが、今のところ戦争映画の中では群を抜いて好きで、何度も見てしまう。

『Generation War(Ep1~3)』(2013年/ドイツ)★★★

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原題(ドイツ語)は“Unsere Mütter, unsere Väter” (“Our Mothers, our Fathers”)
バンド・オブ・ブラザーズが、アメリカ軍(連合軍)側の視点なのに比べ、こちらはドイツ側から見た第二次世界大戦になる。
幼なじみで仲良しの5人組。ドイツ国防軍少尉のヴィルヘルム、その弟の文学好きで新兵のヴィンター、家業のテーラーを継ぐユダヤ人青年ヴィクトル、その恋人でスターになる夢を持つカフェの給仕グレタ、その親友で新米看護師として野戦病院へ志願したチャーリー。そしてヴィルヘルムとチャーリーはお互いに想いあっている関係。
ドイツの若者の視点で描かれていて、ドイツ軍が苦戦しはじめる1941年、大敗するきっかけになる対ソ連への進軍と最も過酷な東部戦線が舞台となる。
小説『また、桜の国で』にも、ポーランドのレジスタンス(Armia Krajowa アルミア・クラヨーヴァ、略称: AK)の戦争孤児達が中心のイエジキ部隊が描かれていたが、AKは地下組織として沢山の分派がおり、その中には当然ユダヤ人を嫌っているポーランド人たちが沢山いた。その闇の部分も描いているし、悪名高きアインザッツグルッペ(移動虐殺部隊)や恐怖のウクライナ義勇兵部隊(補助警察、ディルレヴァンガー部隊など)、戦争末期の少年兵、赤軍の虐殺強姦など、これでもかというくらい過酷な戦争を描いてくれている。
本当にドイツ的な反戦を込めた戦争映画なので、辛いし落とされるが…これこそが戦争なんだよな…と思う。ホロコーストの描写が触りだけで、見ている側としてはこれ以上辛くなりたくないので、むしろよかった。
こちらもとても良い作品。
「数えているか?…殺した人数だ。」
「……いいや。」
「12人だ。…12人殺して……誰も救っていない……英雄のつもりが、今やクソ野郎だ。」
(劇中の会話より一部抜粋)

2020/07/01

㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その2

『フォース ダウン』(2008年/オランダ)★★★

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オランダの児童文学”戦争の冬”を映画化。大戦末期、ナチス占領下のオランダに住む少年の一冬の出来事。雪の景色も綺麗で、ストーリーも面白く、とても良い映画だった。日本の宣伝文句と写真がひどすぎて、本当に勿体ない映画。

地下水道』(1956年/ポーランド)★★

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ワルシャワ蜂起での、劣勢のパルチザンによる対ドイツゲリラ戦を描いている。
もう…凄まじい…その一言に尽きる。
パルチザンや反政府ゲリラなど、レジスタンスの末路が常に悲惨であるとわかっていても、出口のない暗闇に、わずかな光を求めて足を踏み入れて、光を見失い恐怖し発狂しながらも、戻ることもできずに泥沼を進むしかない、それこそ舞台となる地下水道のよう。
それでもレジスタンスを選ばざるを得ない状況(戦争)が、かぎりなく悲しい。近年のシリアしかり…
下のも同映画のポスター、まさにこんな感じ…それにしてもかっこいいデザイン。
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『カティンの森』(2007年/ポーランド)★★

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歴史の闇に長い間隠蔽され続けた第二次世界大戦下に実際に起きたカティンの森事件を映画化。
監督のアンジェイ・ワイダ(“地下水道”と同じ監督)の父親もこの事件で亡くなったそう…
やはりこれも坦々と惨さが描かれている。列強に囲まれているポーランド史の悲惨さは、筆舌に尽くしがたいが、特に第二次世界大戦勃発からポーランド共和国になるまでが悲惨である。
無惨な映像はたくさんあったのだが、
クリスマスイヴの夜、捕虜収容所内で、捕虜となり希望を失いかけていく将兵たちに大将が演説する場面はとても心に残っている。
薄暗く狭い収容所の中で、たくさんの部下に囲まれ真ん中で演説する、それをゆっくりと俯瞰しながら撮影し、またゆっくりとカメラは降りていく美しい映像なのだが、その中で
“…もう一言。徴兵されて運命を共にしたものに言いたい。君たちの大半だ。学者、教師、技師、弁護士そして画家。生き延びてくれ。君たちなしで自由な祖国はありえない。我々は欧州地図上にポーランドを取り戻す。君たちはそのポーランドを再建する。…(劇中より演説を一部抜粋)”
そして、生き延び家族との再会を誓い、皆で祖国の唄を歌う。

『善き人』(2008年/イギリス・ドイツ)★ 

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ユダヤ人の親友を持つドイツ人の文学部の大学教員が、ナチス政権や時代に流されていく姿。
ごく普通の”善良なる市民”が、主義主張もなくただ時代に流されていく滑稽さや警鐘を描いていたのかな。

『囚われのサーカス』(2008年/ドイツ・イスラエル)★

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イスラエル作家の小説原作。イスラエルの砂漠の中にある、心も体も壊れてしまったホロコーストサバイバーたちのサナトリウムでの話。戦争が終わって、瓦礫と生き残った人がいて、壊れたものを少しずつ(建て)直していけば、数年経てば元に戻るのだというのは、幻想でしかないのだろう。『ソフィーの選択』しかり『プリーモ・レーヴィ 』しかり、戦争の中に取り残された人たちは、いつ終戦を迎えられるのだろうか…。

『肯定と否定』(2016年/イギリス・アメリカ)★★ 

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⓮歴史修正主義(余談) Auschwitz-Birkenau編7の中で取り上げた映画。
私は戦後生まれで、知れば知るほど信じがたくなることばかりだが、それでもホロコーストやガス室の存在を頑なに信じている。一方、ホロコーストやガス室は無かったと信じている人がいる。こんな明らかなことでさえ揺らぎかねないのなら、では、真実とは一体何であり、また、何を信じれば良いのかと、茫然とする。

『アイヒマンを追え!』(2015年/ドイツ)★

『検事フリッツ・バウアー』(2016年/ドイツ)

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フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判に尽力した西ドイツのユダヤ人検事(戦中は亡命)のドラマ。敗戦したら、全員が改心して、信奉していた思想がすぐに180度変わる訳がない。それに、ナチ狂信者や、戦犯を逃れた者が、年齢的に戦後の社会や政治の中に入ってくるの至極当然のことで、そうなると特にドイツは社会や組織の中枢にすら反ナチの仮面をして潜んでいる可能性が高い。戦後で平和のはずが、迫害されていた人たちは、どれほど恐ろしかっただろう…そして、東西問題(シュタージなど)も同時進行していたし…。
ドイツ文学『朗読者(愛を読むひと)』の作中の裁判もこの頃である。

『ヒトラー 最期の12日間』(2004年/ドイツ・イタリア)★

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ブルーノ・ガンツの迫真の総統が話題になった映画。今もコラ動画(コラージュ動画)でよく使われていたりする。ヒトラーについてドキュメンタリーをいくつか見ていたので史実に基づくのだが、ヒステリーを起こしたヒトラーがどうもコミカルに見えてしまう。怪物やプロパガンダとしてのヒトラーではなく、人としてのヒトラーを描いている。最期の12日間だけなので、カリスマ性や狂信的魅力は全く伝わらず、映画しか知らないと、盲信者の滑稽さと違和感が異様。

『ヒトラーへの285枚の葉書』(2016年/ドイツ・イギリス・フランス)★

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実話を元にしたドイツの有名な小説原作。役者がとても良い。静かに淡々と悲しみと不条理と戦慄が灰色の空気の中で過ぎていく。監視された狂信的体制の中での、普通の人の静かなささやかなだが勇気ある抵抗。一粒の砂という表現がよい。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』(2015年/ドイツ)★

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1939年11月、ミュンヘン一揆記念演説での時限爆弾によるヒトラー暗殺未遂事件の犯人ゲオルク・エルザーの話。英雄視されるワルキューレ作戦(『ワルキューレ』の感想)の首謀者クラウス・フォン・シュタウフェンベルクとは全く違い、花も名誉もない片田舎に住む36歳の平凡な家具職人のゲオルク。そして、戦後もその意思や行動を英雄視されることもなく、時代に埋没していた男の話。変わりゆく社会風潮、悪くなる世界情勢、きな臭い空気、盲信者の出現…自分の周囲の出来事についていけず、慄き、それをなんとか止めるために自分がすべきこととは…取り憑かれたように計画を立て単独で実行した彼は、自由を愛し、ごく当たり前の生活を望む平凡な一市民であった。

『シャトーブリアンからの手紙』(2011年年/ドイツ・フランス)

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ナチス占領下のフランス・ナントでレジスタンスによりナチス将校が1人暗殺され、その犯人のあぶり出しと見せしめの報復のため、市民や政治犯収容所で大量に処刑された、その中には少年たちもいたという実話(『パリ日記』)を元に映画化。ドイツ軍人で作家思想家のエルンスト・ユンガー役は、『ヒトラー 最期の12日間』でゲッペルスを演じたウルリッヒ・マテス。

※ポーランド旅行記バックナンバーまとめ※随時更新①~

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2020/01/18

㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その1

”㉑参考資料の感想(ドキュメンタリー編)Auschwitz-Birkenau編14”につづき、映画編。

20代後半あたりまで、近現代の戦争描写のある本や映画やテレビ、資料館などを徹底的に避けてきた。
小さい頃に子供会で見させられた、戦争の悲惨さを伝えるアニメ映画がトラウマになり、夜も寝れなくなったのが原因だったので、とりわけ映像が怖くて見れなかった。

なので、かなり有名なものも含め、今回が初見になる。恐れ多くも★評価してみた…というか、映画の良し悪しよりも単に自分の好みの評価。

※数が多いので、”㉑参考資料の感想 (映画編)Auschwitz-Birkenau編14~その2”に続きます。

 『戦場のピアニスト』(2002年/フランス・ポーランド)★★★


ユダヤ系ポーランド人の名ピアニストであるウワディスワフ・シュピルマンの戦時下の体験記を元に描いている。
ワルシャワへ行く前に観ておけば良かったと思った。ゲットー、2つの蜂起、壊滅したワルシャワ、そしてショパン。
この映画は、本当に素晴らしかった。感情移入をさせないよう、坦々と映す戦時下のワルシャワは、むごく虚しくてやるせなく、そして悲しいまでに無力に見えた。
ドイツ人将校役のトーマス・クレッチマンが、役的にもかなりイケメンでした。

ワルシャワ歴史地区について→ ④壊された街、壊せなかった想い (2018/6月) ゲットーについて→ ⑤ワルシャワ・ゲットー (2018/6月)

 『ソハの地下水道』(2011年/ポーランド・ドイツ)★★★


ナチス占領下のポーランドで、下水道業者のソハがユダヤ人を地下水道に匿った実話を映画化。
本当に見ていて辛くなるが、とても良い映画。
“戦場のピアニスト”でも、”地下水道”でも感じたが、生い立ちで戦争に深く関わったことのある監督(たまたま全員ポーランド出身だが)の描く戦争は、どこかに肩入れするでもなく、共感や感動をさせるわけでもなく、坦々と情景を描き、立場に関係なく生身の人間を描いている。
涙を誘う描き方や英雄を作り出すのは、戦争を知識として知った人で、体験した人はただ坦々と醜さを表すだけに思うが反戦映画となるのは、やはり後者だと思う。

As if we need GOD to punish each other.(劇中エピローグより)

 『ヒトラーの贋札』(2007年/ドイツ・オーストリア)★★


強制収容所内で行われていたナチスによる偽札作り”ベルンハルト作戦(国家機関によるものだと史上最大)”の実話を基にした作品。色んな意味での”内と外”の見せ方や対比が印象的。オープニングとエンディングで流れるカルロス・ガルデルの”mano a mano”(演奏Hugo Diaz)は、”五分と五分”という意味だと誰かの感想で書いてあった。音と音楽の使い方が秀逸。

内容に関係ないが、ブルガー役のアウグスト・ディールがとても美しい(骨格)。

 『帰ってきたヒトラー』(2015年/ドイツ)★★★


1945年のヒトラーが、自殺の瞬間から現代のベルリンにタイムリープするという荒唐無稽のコメディー映画。が、かなりの社会派映画。大筋は社会風刺的でコメディータッチだが、スタジオ以外の街頭市民、ネオナチ、NPD(ドイツの極右政党)との撮影は基本アポ無しらしくて、難民問題による二極化や景気低迷、政治不信のドイツ国内の様子を如実に映し出すことで、警鐘を鳴らしていた。とても面白かったが、視聴後、考え込む。

 『黄色い星の子供たち』(2010年/フランス)★


ナチス占領下のフランスで行われた(仏政府も協力した)ユダヤ人の一斉検挙(ヴェル・ディヴ事件)を題材にした映画。
子供たちが可愛い…ので、尚更悲しい。。。
ジャン・レノは、客寄せパンダ的な効果を狙ったのかな…肥えているし彼である必要はないと思うけど、この手の映画に観る人が増えるためなら良いのかもしれない。

 『サラの鍵』(2010年/フランス)★


これも、”黄色い星の子供たち”と同じくヴェル・ディヴ事件を取り扱ったもの。
現代のジャーナリストの視点から過去を掘り起こしていく。
こちらの方が、好きかな。
職場で記事について会議中に、
“(戦時中に)こんな(悲惨な)ことがパリの真ん中で起きていたなんて吐き気がするわ。”と言った女性の同僚に、
”じゃあ、あなたがもしその場にいたら何をしたと思う?”と問いかける主人公。
別の同僚が、”たぶんテレビで見ているだけだね、イラク戦争の時みたいに。”と答えていた。
いつだって傍観者で居続けてしまう、自分の身に降りかからない限りは。

 『ハンナ・アーレント』(2012年/ドイツ・ルクセンブルク・フランス) ★


“⑱人を残忍にするシステム(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編11”で触れた映画。“全体主義の起源”を書いたユダヤ系社会学者ハンナ・アーレントが、”イェルサレムのアイヒマン”を発表するまでの話。
ドキュメンタリー編で紹介した”Defamation”を見てからだと、70年前から何も変わってないんだと思った。

 『二つの冠/Dwie Korony』(2017年/ポーランド)


マキシミリアノ・コルベ神父(⑬コルベ神父(2018/6月) Auschwitz-Birkenau編6参照)の生涯を描いたドキュメンタリードラマ。二つの冠とは、コルベ神父が幼少の頃、お祈りしていると聖母が赤と白の冠を持って現れ、どちらを受け入れるかと尋ねられる。コルベ神父は「両方欲しい」と答えたという。白は純潔を保ち、赤は殉教者となることを意味している。内容に関しては、”汚れなき聖母の騎士会”の創立100年を記念して公開されたのを考慮のこと。

 『ブラジルから来た少年』(1978年/アメリカ)


メンゲレなどを知らない時に、ラジオドラマを聴いたことがあった。ナチスにオカルト的な話題が絶えないのは、カルト教団的な政治理念や残虐さの他に、ヒムラーのオカルト傾倒と、マッドサイエンティストと言われるこのDr.メンゲレの存在がかなりあるだろうと思う。個人的にラジオドラマの方が好きだった。

 『ライフ イズ ビューティフル 』(1997年/イタリア)★


愛に守られた息子ジョズエを通して見る、両親の出会い、戦争に向かう世の中、収容所、そして終戦。戦争映画というよりは、愛と人生賛歌の映画。喜劇として悲哀を描いている分、カメラで映していないその先や意味を知っているとより悲しい。女性士官の態度や戦前に懇意にしていた軍医の平素と変わらぬやりとりなどの違和感も映している。

 『手紙は憶えている』(2015年/カナダ・ドイツ)★★★


老人ホームに暮らす90歳になったアウシュヴィッツサバイバーの人生最後の復讐劇。戦争体験者が高齢になり、認知症や介護、老衰など、現実にあり得る話。お爺ちゃんによるロードムービーっぽいサスペンスで、とても面白かった。主演はサウンドオブミュージックのトラップ大佐の約50年後、枯れ演技も素晴らしい。

 『HITLER the rise of evil』(2003年/アメリカ・カナダ)★


2部作で、ヒトラーの生い立ち〜長いナイフの夜までを描いている。
ヒトラー役を、10代から好きな英国俳優ロバート・カーライルが演じているのだが、良い意味で不気味で気持ち悪い。しかし、全編で英語を喋っているのが、気になる。

 『ソフィーの選択』(1982年/アメリカ)★


上京した小説家志望の青年と、才能豊かで自由奔放なユダヤ青年と影のある美しいポーランド女性カップルとの交流、明かされる秘密と過去。
非常にヨーロッパ映画っぽく、全体的に叙情的で神秘的、そして重い…
メリル・ストリープ初主演
今も美しいが、この時は物凄い美しさ。

広い寝台を/畏れをもって準備し/公正な/審判の下る日を/静かに待とう/しとねをまっすぐに/まくらは丸く/朝日の黄金色のざわめきに/乱されぬように(劇中、エミリー・ディキンソンの詩より)

 『わが教え子、ヒトラー』(2007年/ドイツ)


敗戦間近のベルリンで最後の演説をするヒトラーの指南役にユダヤ人の役者が抜擢される話。コメディーだが、これは合わなかった。

 『ワルキューレ』(2008年/アメリカ)


実際にあった一部の軍部によるクーデター・ヒトラー暗殺事件(ワルキューレ作戦)をトム・クルーズ主演で映画化…。ヒトラー暗殺については、ドキュメンタリーも見て、そちらの方がスリリングさが半端なく、面白かった。私の中で、ご本人はトムクルーズよりずっと魅力的なイメージなんだが…

 『命をつなぐバイオリン』(2013年/ドイツ)★


戦争の足音が大きくなりつつあるウクライナで仲良くなるドイツ人の女の子とユダヤ系ウクライナ人のバイオリンとピアノの才能がある男の子と女の子が、戦争により翻弄されていく。バイオリンの神童の少年役を演じたのは、現実でも神童のバイオリニストだということで演奏シーンは、本物だそう。

  ※ポーランド旅行記バックナンバーまとめ※随時更新①~

2020/01/15

映画の中のチャーチル


なんとなくチャーチルだけピックアップ映画鑑賞


『ウィンストン・チャーチル』(2017)

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目元がゲイリー・オールドマンで、あとはチャーチルだった。彼が首相に就任し、ダンケルクのダイナモ作戦までの数週間を描いている。
カレーの陥落は、本当にいたたまれなく、有名なダイナモ作戦成功の影に、孤立無援で取り残され、命を捧げた4000人がいたことをこの映画で初めて知った。命令する側、受ける側、そして、何より、カレーの現場指揮官の中尉の悲痛と絶望は計り知れない。
その時のイギリス本国の状況も、四面楚歌に近い状況だったのだが。
一つ一つが重大すぎる決断で、そのストレスたるや…想像を絶する。
私の中のチャーチルはVサインと、空襲の被害を受けた街の視察をしている姿で、ナチ関連のドキュメンタリーを見ている時によく使われていた。
この映画ってチャーチルのこれまでとこれからを知らない人でも、楽しめるのだろうか…と見ていて少し疑問に思った。チャーチルについてはもう一般常識のレベルなのだろうか。
妻のクレメンタインとの関係性が、素晴らしい。支え鼓舞し、愛情に満ち、また対等である。賢く美しい女性である。
言わずもがな、ゲイリー・オールドマンと、メイクとファッションは、素晴らしいです。

『Into the Storm』(2009)

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同じく、チャーチルの映画。こちらは、チャーチルの首相就任から第一次退陣(終戦)までを描いている。
ヒトラーもチャーチルもルーズベルトも、やはり激動の時には屈指の名演説家の政治家が出てくるんだな…逆を言うと、政界に名演説家が出てこないのは、不動の時代ってことでいいのかな。ドキュメンタリーで”鷲とライオン ヒトラーvsチャーチル”(2人の生い立ち~晩年まで)というのを以前観たが、これが役に立った。

『英国王のスピーチ』(2010)

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ジョージ6世が主役だから、チャーチルはほんの少しだけしか出てないが…というか、チャーチルを出す必要性があったのかちょっとよくわからないのだけど。タイムリーだったのが、ハリー王子の王位継承権辞退のニュース、この時のエドワード8世(ジョージ6世の兄)と全く同じだった…奥さんアメリカ人で、若かりし頃のナチ問題とかもしかり。王室は繰り返すのか…

『イミテーション・ゲーム』(2014)

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チャーチルは名前だけ出演したのと、あと広場での戦勝会見の実録映像に出ていたかな。ヴェネディクト・カンバーバッチは、アスペルガーな天才の変わり者しか演じていないのか、たまたま私がそれしか見たことないのか…まぁ、はまり役。ナチスの優生思想や差別を嫌悪しながらも、戦後もそこを正すことができない国々、闘ってきた理由は思想ではなく領土であったんだなと、悲しくなる。
“エニグマlと聞くと、自動的に”Return to innocence”が頭に流れてしまう。

『人生はシネマティック』(2016)

ダウンロード
原題の”Their Finest(Their Finest Hour and a Half) ”は、シェイクスピアの”ヘンリー5世”からチャーチルが引用して、ダンケルク後の演説の中に使用。"This was their finest hour. 人生最良の時”
これは映画館で見たので、その時の感想→ “人生の1時間半を捧げる

2019/12/31

落下傘部隊

『戦場のコックたち』(深緑野分著)

時間潰しに入った丸善で、新刊のチェックをしていた時、平積みで目に付いたのが、深緑野分著”ベルリンは晴れているか”
知らない作家だった。
変わった名前だなと思いながら、自分の中で第二次世界大戦ブームだったので記憶に残していた。
この間、何を読もうかなぁと図書館で考えて、急に思い出して探すとリクエスト待ちだったので、本棚にあった同作家の作品で”戦場のコックたち”を借りることにした。 
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少しタイトルで損している気もするが…
とても面白かった。
刻一刻と悲惨さを増す過酷な戦場をベースに、戦いの最中に所属する部隊などで起こる不可解な事件を解決して行くミステリー仕立てになっている。
つい最近(数年前)まで、本当に恐怖でしかなく戦争物は徹底的に避けてきていて、映画も本もドキュメンタリーも関連するものは一切見ていなかった。
だから、興味が出てからは、なんでも目新しく、解禁した途端に、途方も無い刺激物が体内に流れ込んでくる感覚になった。
歴史的背景を知ると戦争物というジャンルの劇薬は、かなりの依存性を増すのだと感じる。

『Band of Brothers』(スティーブン・スピルバーグ)

で、作家が大好きで参考にしたと豪語していたスピルバーグとトム・ハンクス総指揮のドラマ”バンド・オブ・ブラザース”がどうしても見たくなって、見始た。
あーたしかに、完全に”戦場のコックたち”はこのドラマの影響を受けたスピンオフって感じだ!と、なんか全てが納得。
スピンオフって、文章がうまくないと興醒めするから、その点は全く問題ない、良い作家を見つけた。
というか、ドラマ見てからだと、戦況や状況とかが、つぶさにわかる。
本当にセットで見る(読む)のがお勧めです。
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というか、そもそも”Band of Brothers(バンド・オブ・ブラザース)”がお勧めである。
詳しい取材を元にしたノンフィクションが原作で、ドラマだとおじいちゃんになった戦友たちのインタビューも各話の冒頭に入っている。
初見だと2話あたりまで名前と顔がなかなか一致しなくてストーリーを追う感じだが、1周目見終わってキャラクター性に愛着が湧いてから2周目に再度見だすと、俄然面白さが増す。

『プライベート・ライアン』(スティーブン・スピルバーグ)

で、この流れで、”プライベート・ライアン”も見たが…
これは、冒頭の20分間をひたすら耐える映画にしか思えない…。
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*3つの共通点


ちなみに、”プライベート・ライアン”も”バンド・オブ・ブラザース”も”戦場のコックたち”も激戦のノルマンディー上陸作戦から始まる。

“プライベート・ライアン”のトム・ハンクスが演じたミラー大尉は、アメリカ陸軍第2レンジャー大隊C中隊隊長で、海上(オマハビーチ)から上陸。
で、タイトルにもなっているマット・デイモンが演じるライアン上等兵は、アメリカ陸軍第101空挺師団第506パラシュート歩兵連隊第1大隊B中隊所属。
“バンド・オブ・ブラザース”は、同じく第506パラシュート歩兵連隊第2大隊E中隊の面々の話。
“戦場のコックたち”も、同じく第506パラシュート歩兵連隊第3大隊G中隊の特技兵が主人公の話。
この小説だけは、一人称の”僕(キッド)”ことティモシー・コール五等特技兵(調理兵)の語りで最後まで描かれている。だから、戦争の悲哀も不安も不条理も、そして仲間への想いも”キッド”だけの視点で彼の感情が主軸に流れ、同調してくる。他の作品もすべて同じ部隊の話だからこそ、一人称の視点は、興味深く面白かった。
ちなみに歴史上最大の上陸作戦であるノルマンディー上陸作戦の開始は、夜間にパラシュート部隊の空からの降下による上陸から口火が切られた。
陸自の駐屯地が近いので、落下傘部隊は子供の頃からよく目にしていた。
日常の風景となっているが、落ちていく落下傘の一群が目に入ると、つい見上げてしばし見入ってしまう。
しかし、これらの作品を観た後では、なんだか違うものに見えてしまう。
しかも、ついこの間、落下傘に関しての裏話も聞いたばかりで、なんとも複雑な思いで空に漂うクラゲの一群を見入ってしまう。
願わくば、こんな悲しく虚しい戦いが世界中からすべて消えてくださいと、心から思う。 
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にしても、”ベルリンは晴れているか”もだけど、”Band of Brothers ”の原作は読みたいな…
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