2017/12/13

はみパン

パン屋さんでパンを買っていたら、なんとなく頭に浮かんだけど
今の子はしらないんだろうな

はみパンって、ブルマーの下からはみ出てるパンツの略称だけど、
それを説明すると、なんともえげつない

が、音の響き的には、とても好ましいと思う
はみパンってパンがあったら、絶対かわいいだろうな…
むしろ、すでにありそうだけど

“おしりパン”は、いまやどこの店でも恥ずかしげもなくあるのだから、
“天使のはみパン”とか、どうだろうか。

あ、そもそもブルマーが、もうわからないのか!
ブルマー
今は、ポリエステルが主流なのかな
たしか、、昔は綿100%だった気がするけど気のせいかな

いや、ある界隈では未だに絶大な人気を誇っているとは思うけれど…

小学生の頃、絶世の美少女(だと私は思っていた)◯岡さんの体操着が行方不明になっていた

なくなると学年でなんとなく探すような感じで、ザワザワするけれど、
実際に見つかったのか見つからなかったのかは、よくわからなかった
私が、そのことに興味がなかっただけか、うやむやにされていたのか…

でも、今思うと、盗んだのは(窃盗を前提にするが)、生徒じゃなかったんじゃないかな…
いや、こんなこと言ったら、問題になるな…

そもそも体操着の窃盗の元凶は、ブルマーではないかとさえ思う

ブルマーが廃止されてからの、体操着の学内での紛失は、減ったのではないだろうか…(いじめ以外では)

可愛い子のブルマーたがらこそ価値があり、半ズボンやジャージじゃ、全く意味が変わる気がする

コレクションにするにしても、転売するにしても…

ブルセラ全盛期だったし
(ちなみに、ブルセラの語源はブルマーとセーラー服)
今のJKビジネスとは、趣が違うとは思うが
90年代初頭までは、特に未成年の商品化に対する法律がザルだったので、ありとあらゆることが白昼堂々行われていた気がする、アンダーグラウンドでは、マニアックさ極まれり
事件にならないと法律はできないので、それ以降、固まってきたが

あ、ブルセラってのも、死語か…
わからない人が多いのかな…

ブルマーの魅力とは、なんなのかな?
もっさりした厚手の綿製や化繊の濃紺で、完全におばあちゃんのパンツみたいな臀部を完全に覆う形だけど…
愛好者に良さを詳しく聞いてみたいけど、まー名乗り出てはくれないか…

愛好者の統計は取ったことないが、たぶん、ブルマー世代や、それを目の当たりにした世代、つまり30代以上にマニアが多いのではないかと思う(偏見かな…)

20代とか10代なんて、ブルマーってハイファッションのショーのランウェイで見かけるだけのコンパクトなボトムってイメージで、セクシーとも思わないんじゃないかな
D&Gやサンローランも以前発表していたし


  
Saint Laurent
from Fall 2013-2014 Women’s Collection

Macgraw
from Resort 2017-2018 Women’s Collection

そもそも、刷り込みな気もするんだよな
体育の時間に、仄かな羞恥心をはらんだ可愛い女の子のブルマー姿を盗み見て、
背徳感を覚えていた少年や大人たちの、あの頃の未成熟な恋情や憧れ、罪悪感や哀愁が、歪に結晶化してしまったんじゃないかな…
つまり、ブルマー愛好の温床は、昭和の日本の学校教育なのでは…


美少女◯岡さんの小学生時代は、
私の知る限り、そりゃ大変な生活を送っていた

体操着などの紛失は一回ではなかったと思うし(イジメではなく)
登下校に、おじさんにストーキングされたり、手紙を渡されたりしていた…

美少女は、大変だなぁと、
完全に男子だった私には、違う惑星の話だったけれど…

宮崎勤の事件もこの頃だったし

そもそもパンツ型のブルマーの普及は、諸説あるが、
1964年の東京オリンピックの時に認知、賞賛され、
その後、爆発的に普及して国民的体操着になり、
1990年後半に入り、わずか約30年のブルマー家の栄華は一瞬にして没落する

上の写真の老舗学生服メーカーのトンボさんによると
いまや、ブルマーの生産量はピーク時の1000分の1
生産自体を廃止したメーカーは、数知れずだそう
国産品は、入手困難なのかもしれない…

もしかしたら、2020年の東京オリンピックで、
56年前の”東洋の魔女”の様に、うまくやれば
ブルマー家の復権も夢じゃないのかもしれない

でもたぶん、その時にまた新たな国民的体操服が生まれそうな気がするけれど…
おそらく時代の流れ的に、機能的で、ボディラインが極力強調されないユニセックスなものかな

ブルマー愛好者たちの頑張り次第ですがね
学術的にブルマー研究している人がたくさんいるみたいだから、ご興味あれば本など是非

にしても、
ブルマーとは、英語のスペルで”bloomer(s)”と書くのだけど、
bloom”って、花が咲くとか健康的に輝かしいイメージの意味で
動詞とかの語尾に”-er”が付くとだいたい、〜する人ってなるから
青春そのものな、本当に素敵なネーミングだなぁって思った

まぁ、昭和の日本の少年少女たちには、心にさまざまな傷を付ける結果にはなったが…

けど、実は普通に、ブルマーの発案者の1人であるアメリカの女性活動家のアメリア・ジェンクス・ブルーマー(Amelia Jenks Bloomer)さんから単純に取った名前なんですけどね

ちなみに、調べたらbloomerってスラングで、大失策とかヘマとかの意味もあるらしくて(blooming errorから来ているみたい)、名は体を表すというか、もう、この歴史は運命付けられていたというか…

なんか、上手いこと言った的な感じですが…

…えっと、、、
なんの話をしていたんだっけ…
あ、そうだ、このシュトレンには、マジパンを使っているか聞きたかったんだ

2017/12/10

”ムー”が好きならば

マイノリティーアピールで、テレビ見てないって豪語しながら、
実は、ネットで動画を見ながら制作していたりします、エヘヘ

今見ているのが”Stranger things “という海外ドラマ
(むしろ今更ですが…)


X-file”とかムー”とか好きな人なら絶対にハマる
ちなみに舞台は1980年代でSFなので30ー40代にはドンピシャでしょう
ウィノナ・ライダーも出てるし!(やつれ過ぎてて、最初気づかなかったけど…)
80年代映画を彷彿させる、完全に我々の世代がターゲットのドラマです

しかも、メインキャストの仲良し四人組+El(ヒロイン)がみんな超かわいい
オフショット
髪が一番短い子が、女の子
主役のMike役の男の子は、すごく綺麗なんだけど
中でも少しぽっちゃりした愛嬌のあるDustin役の男の子が、めちゃくちゃかわいい
食いしん坊だし、少し舌ったらず(下記の理由で歯がないからだと思う)で、クルクルのくせ毛で、仔犬っぽい
Dustin役のGatenくん

ちなみに、劇中で”鎖骨頭蓋骨異形成症”を患っているのだが、
役者をみてキャラクター作りをしているので、役だけではなく実際に同じ持病です

調べるまでこの病気を知らなかったのだけど、なんとなく紹介したくなったので

Dustin役のGatenくんのインタビューを抜粋

Gaten : “Cleidocranial Dysplatia”(鎖骨頭蓋骨異形成症)っていうんです。わずかな人が持っている、とても稀な疾患です。同じ症状を持っている多くの人に、(このインタビューを)聞いてほしい。生まれたときから、鎖骨がないという疾患なんです。同シリーズの最初のエピソードで、いじめっ子たちがダスティンに歯がないことをからかいますが、僕も同じ症状なんです。今のこの歯は、義歯。この疾患があると、歯や肩に影響があります。でも、僕よりももっと重い症状に苦しんでいる人がたくさんいます。僕は、何度か口腔手術を受けたのですが、なかには、脊椎や肩、顔、頭蓋骨の手術をしなければならないほど大変な人も多くいます。僕には痛みはないけど、特に弱っている膝や足首の痛みに苦しんでいる人もいます。多くの人が疾患を持ちながら一生懸命生活しているので、同シリーズの脚本家たちが実際に症状を描いてくれたことで、僕も助けられたし、同じ疾患を持っている視聴者も救われる気持ちになったと思います。そういう人たちからメッセージをもらって、涙が出ました。誰かが共感できるキャラクターを演じられたことを、とても幸せに思います。
Emmyの雑誌の表紙の写真
さすがのドレスアップ
cool!!
さて、シーズン2も観るかな
観たいリストの海外ドラマいっぱいあるんだよな

2017/12/08

人生の1時間半を捧げる




そんな価値のある映画を作ろうとした、『人生はシネマティック』

1940年、第二次大戦下のイギリスでの戦意向上のプロパガンダ映画制作の話

原題:Their Finest(Their Finest Hour and a Half)

やっぱりヨーロッパの映画っていいなぁ、って思うタイトル通りの映画。

台詞回しがすごく良かったし、
特徴的な台詞が何回か違う場面で違う人が使ったりしていたのだけど、
その中でなんとなく引っかかった台詞

ちなみに本職のうまい対訳は、全く思い出せないけど、
ネットから英文スクリプトを引用してストーリーを思い出してニュアンス超訳(すみません)


大家さんの奥さんが空爆で亡くなり、壁越しにその旦那さんが一晩中泣いていたのを聞いていた情報省のフィルが、答えを出せないでいるヒロインのカトリンへ向けて言ったセリフ

"It seems to me when life is so very precarious, it's an awful shame to waste it."
"いつ死ぬかわからないのだから、無駄にするのはすごく勿体ない。"

日々空爆があるロンドンで、死に直面しつつも、生きることに前向きな人たちの感覚は、現代日本人にとって本質的には理解できないと思う。
人生が限りある時間であることが、なかなか実感できなく、逆に(長寿の意味で)いつ死ぬのかわからないがために、無為に過ごし、失敗を恐れ、決断ができない昨今の日本では想像しにくい。



喪失感に囚われたカトリンを訪ねて行って、ビル・ナイが演じる老年の俳優が言うセリフ

"You and me given opportunities only because young men are gone. But to turn our back on those opportunities, wouldn't that be giving death dominion over life?"

"我々にチャンスが回ってきたのは、若い男たちが、(戦争に行って)いないから。そのチャンスをないがしろにするのは、生が死に囚われてしまっているんじゃないか"

偏った見解ではあると思うが、
以前、女性の社会進出と徴兵制の相互関係に触れていた人がいて、なるほどと思ったことがある。
また、たとえば、ルワンダなどは、内戦による大量虐殺で実際に男性が少なく、女性の社会進出が著しくなった国もある。

もちろん、1940年代の大戦下で、事実英国でそのようなことが起こったかは、わからないが、
戦後の数年、やはり人材不足からどこの国も復興のために表舞台に立てずとも活躍したのは、当然、生き残れた人たちだと思う



映画にとんと疎くなったので、わからなかったが、
相手役のサム・クラフリン、カッコよかったな
皮肉屋の英国紳士でファッションが好みだったんだけど

ま、ビル・ナイの役が一番良かったけれど

映画の中で制作していくプロパガンダ映画の題材は、ダンケルク"なのだが、

その年に起きた戦い(事件?)をすぐに扱うという速さが、戦時下の映画なんだろうなと思うのだけど、ダンケルクって負け戦だったはず…
救出作戦とはいえ、1940年代の日本では絶対にプロパガンダ映画に負け戦の題材持ってこない気がする
神風がやんじゃうし、負けてても勝っている風にするだろうし…
いや多分、今の北朝鮮をはじめ、そもそもアジア諸国は、プロパガンダに負け戦は使わないんじゃないかな…

戦争映画とホラー映画は、怖くて見れないから、見てないけれど、
クリストファー・ノーラン監督が、そのまんまダンケルクの戦いを題材にしたDunkirk"って映画が、今年の9月くらいに上映していたみたい

今年は、ダンケルクの戦いがブームだったのかな

本当は、"Paterson"を見るはずだったのに、先週に終わっていました…
もう、パソコンでみようかな…

でもこの映画はよかった


2017/12/06

生きていくのに必要な情報ではないはず

従姉妹が劇団員をしているので、姉と伯父さんとで観に行くと

バラエティ系などの時事ネタを取り入れたオムニバスな内容だったのだが、

その中に、
背中に35”と書いてある小ネタが出てきた

結局、それについては根本的な説明はないまま、終わったので、深い意味はなかったんだろうと流していたのだが

姉が、ディナーの時に、
あの、ブルゾンちえみの35億"ネタは結局なんだったんだろうねと聞いてきた

ブルゾンちえみ"を知らない私は、

エ?ダレ?ナニソレ?
アレ、背番号トカジャナカッタノ?

と、言うと、姉が化石を見るような目をしていた

70代の伯父さんでさえ、流行語大賞にも選ばれたんだよっと横から説明してくれ、
姉と伯母さんが、その芸人を大まかに説明をしてくれた

この分だと、それ以外の小ネタで私だけがわからない部分があったのかもしれない…が、それを差し引いても面白かったので、許してください


以前に、誰かのツイッターか何かで見かけたのだけど
テレビに出ている芸能人の名前と顔を覚えているのが、さも当然のような現代だけど、
それって実は異常じゃないかと指摘していた

たしかに、考えたことなかったけど、みんな驚異的に覚えている

それが、あたかも日本人の共通認識みたいになっていたりする

気持ち悪がられているオタク知識より、一般的だと思われている芸能人知識のが、よほど脅威的なレベルだと思う…
それに、オタクは、愛ゆえの知識だけど、みんなそこまでテレビを愛していないよね

1、2年で流行りは変わるだろうし…
美男美女って、割と同じような顔しているから、区別しにくいし…

ムズカシイデス…

でも、
最近の若い子たちは、テレビ離れしているらしいから
私くらい知らないんじゃないかな?

私の中では、猿岩石はヒッチハイクの旅らへんで止まっているのだけど…

あ、もしかして、だから友達が少ないのかな…

私の唯一の情報源は、偏りすぎているので、
ボコハラムの変遷とかAQIMの勢力図とかしか教えてくれないのだけど…

あぁ、、、
だから、友達がいないのか…



2017/11/16

憑き物おとし

『狂骨の夢』上中下巻 京極夏彦

ラジオドラマの"百器徒然袋"(佐々木蔵之介主演)を見つけて仕事をしながら聴いていたら、
『魍魎の匣』以降読んでいない百鬼夜行シリーズ3作目『狂骨の夢』の読書欲が出た
そして相変わらず厚い…
”鈍器になる推理小説”って言われているけど、次作はもっと厚いのか…

奇しくも連日報道されている座間の事件の最中だったが、
小説でも現実でも生首やら骨が沢山出てくるから、どちらがどちらかわからなくなる

小説は、動機もオチも解説もあり、京極堂が憑き物まで落としてくれるが、
現実世界では、世間が事件の発覚で憑き物にとりつかれている感じがする

動機は、世間が納得するためにあるのだろう、後付け感が否めない
不自然な”一般的”動機が報道から流れてくると、違和感から体毛がゾワゾワする

事件が起きると、それが凄惨であればあるほど、
犯人が、異常であるとか、育った環境が特殊であるとか、精神疾患だとか、
”普通じゃない”ことにして、必死に自分たちの日常と切り離そうとしてみえる
隣人のドアの隙間や自分の心の仄暗さが、無関係だと証明しないことには、あちら側へ行きそうで怖いのかな


本書に、史実に基づく事件も出てくるのだけど、昭和は変な事件が多いな
死のう団事件とか、熊沢天皇とか…
大本教の出口王仁三郎くらいしかパッと思いつかないが、
自称天皇って、近年聞かないのは、すっかり民間の皇室信仰が薄くなったからかな
あ、、有栖川宮詐欺事件(2003)があったか

『応天の門』1巻~ 灰原薬

朝廷への権力闘争の真っただ中であった平安京が舞台の漫画『応天の門』
かなり面白かった。早く続き読みたいなぁ。絵も好みで綺麗(←絵は大事)

偏屈で秀才な菅原道真(18歳・写真右)と女好きの色男の在原業平(38歳・写真左)が活躍する、平安時代版シャーロック(BBC)
相関図や大きな流れは史実に基づき監修や解説も入っているから、なお面白い
タイトルからすると、応天門の変が山場になるのかな。

それにしても、昔の日本って、本当におかしな国である
なんか不思議すぎて、国自体が気の触れたカルト教団みたい

日本史より世界史の方がドラマ性があって好きだったけど、
「ナクヨウグイス、平安京」、みたいな覚え方じゃなくて、
ドロドロの権力争いとか細かい人物の背景描写とか、特異すぎる文化を踏まえて、絵とかストーリーで学んでいたら古代中世あたりでドハマりしてそうだな
古典や漢文だって好きになっていたかもしれない…って、自分のせいか


※不注意から脚を怪我したので、数日、ふて寝しながらパラパラと本を読んでいました

その他の本(覚書)
『ウツボラ』1-2巻 中村明日美子

『狂骨の夢』の途中で漫画の『ウツボラ』を読んだ
同じミステリー物
”顔のない死体とひとつの小説をめぐる、謎の物語”

意外にも、なんかちょっと似ている所があった…そして、面白かった
この人の絵、好きだな。ビアズリーっぽい。

『有栖川の朝』久世光彦

思い出しついでに、20年来の最愛の作家である久世さん節の有栖川宮詐欺?事件
読むといつも思う、久世さんの文章からは、女の人と日本語と昭和への愛しさが溢れてくる
はすっぱなかわ”いい女”を書かせたら右に出る作家はいないだろうな

『獣の奏者』1-4巻+外伝1巻 上橋菜穂子

移動中の本としては向いていない、5ページに1回は涙が出るしくみになっている気がする。何度車内で涙し、周りに凝視されたことか…

大きな力を知り得た人が、その怖さと真実を語り継ぎ、未来永劫、果たして使わずにいれるのか、それが疑問である。
上橋さんの書く話には、本当に悪い人や理解不能な人などが出てこない気がする。

ファンタジーの魔法や妖精が苦手な人にもオススメできるのが、上橋さんの本
でも、やっぱり彼女のだと”守り人シリーズ”の方が好きかな。

2017/11/09

やっぱりハスキーが好き

15日からの銀座三越に出す作品

ちなみに小さいです(高さ7㎝くらいです)
シベリアン・ハスキー


Milo & Oliver

この間、温泉へ連れ出してもらったら
久しぶりすぎて忘れていたが
余計に温泉欲が、出てきた

願わくば一年くらい湯治したいです(※健康ですが)

×××××××××××

2017年11月15日(水)~11月28日(火)
10:30~20:00
銀座三越7階 ジャパンエディション

49日

晩夏の薫りがかすかに残る頃
季節ものを目にして、学生の時にお世話になった方のお母様の好物を思い出し贈ると
丁重なお礼とともに、1つの訃報も受け取る

在学中にお世話になり、葉書などを出していたが、10年近くお会いしていなかった先生だったのに
もうどうやっても、この世で会えないことを頭と心で認めなければならないのは、なかなかの難儀である

御葬儀に行けもせず、ソワソワと、何をしたらよいのかわからないでいると

先輩が、御香典などの連絡をくれて、何かできることに、少しだけ気持ちが救われる
もう、自分もいい歳だし、下にはたくさん後輩もいるのに、未だにそんな先輩方のようになれる気がまったくしなく、頼もしさにすがり、おんぶに抱っこである


見た目がムックみたいで、穏やかで大きく優しくて
のんびりした山形弁訛りで目尻を下げて笑う、とても温かい先生だった

モシャモシャの髭面なのに、手がとても綺麗で
ロクロの上で、それは精巧に動いて、黄味色の磁土が飼い慣らされた生き物のようだった

実は内緒にしていたが、先生が見本で作ってロクロ場に置かれていた蓋物を、演習終了後に勿体無いから勝手に釉掛けして焼きました(後で、白状したが)

下手くそな生徒だったが、根気よく教えてくれたはずなのに、
覚えているのは演習内容より他愛のない雑談ばかりで、
玉の輿に乗る方法とか、学校に連絡がきた古い知人の話とか、先生の弟子入り時代の話とか、好きなスニーカーの話とか、そんなことしか覚えていない

もっと学んでおけば良かったとほぞを噛む思いばかりだが、
でも、そんな話こそ、制作中にふと思い出して、殺伐とした気持ちが少しホッコリするのだから、
まったく教え甲斐のないダメな生徒だが、教わるとは不思議なものだと感じる

そんな事情で同級生に連絡を取ると、
卒業する時に、先生から一人ひとりに手紙をもらったという話になった

全然記憶になく、言われてもピンと来ない
もうその頃の記憶も曖昧である

大切な手紙類は基本的に取ってあるので、箱の中を探してみると、テープが少し黄ばんだ飾り気のない白っぽい封筒に入ったレポート用紙が出てくる

もらった状況は思い出せないのだが、
あぁ、確かにこれは、読んだなぁと思う


暗に私個人に向けた言葉なのか、一卒業生に向けた言葉なのか、いまいち判断がつかないが、
手紙なのに、
口癖の、何だべなぁ…と、何度か吐きながら
物作りについて独り言のような手紙だった

その頃の私は何を思ったのか忘れてしまったが、
10年近くたって再度読むと、今の私の痛いところを突かれているなと、少し考え込んでしまった

自己紹介するときの、単なる記号として、陶芸家ですと伝えるが

自分を陶芸家だと思えたことがなくて、カテゴライズする必要はないのかもしれないが、
じゃあ何かと聞かれたら困るし、説明するのも面倒臭い

でも、先生の手紙から、この人はやきものが好きで良いモノを作り続けている人なんだなぁとしみじみ感じる
陶芸家ってこういう人であって欲しいという理想そのものなのだから

私の陶芸に対する罪悪感は募るばかりだ

最後に会った卒業後のある時に、やはり別の訃報に集まった席で、ふくちはこれを予知していたんだなぁっと私の出した手紙を握りしめて聞いてきた時があった、が…

先生こそ、今の私を予知していたのですよね?と聞きたいけれど、
…もう、できないじゃないですか…

何だべなぁ…

今頃、薬師如来の御前におられて、7回目の審議の頃だろうか



早すぎるよ、先生

2017/11/06

コクチ『わたしだけの干支もの展』@銀座三越7階

こちらは、東京でのグループ展示です

今、初めて銀座三越のHPで展示のタイトルを知りましたが…

『わたしだけの干支もの展』
2017年11月15日(水)~11月28日(火)
10:30~20:00
銀座三越7階 ジャパンエディション
戌とか猫とかパンダとか富士とか、縁起が良さそうなものを30点くらい出すと思います


くつろいだ感じでクタァ~っと座っています
なんか写真だとかわいさに欠けるな…
本物の方はもう少しかわいいと思います(当社比 笑)

本人いませんが…すみません
銀ブラついでにでも、お立ち寄りください
たぶん、7階にあるギャラリーの隣あたりかな?
よろしくお願いいたします

鯛乗りの箱書き
自分の好きな犬種が多いです
全部、手でコネコネしているので一品しかないです…
シベリアンハスキー・バセットハウンド・ブルテリア(風)・ボーダーコリーとか

ちなみに、全員に名前を付けてみました
箱裏に書いておきました  笑

パンダは、チャイニーズネームです
パンダの後ろ姿(おっさんっぽい)
ちなみに私はパンダ好きではないので、
パンダ好きのお目にかなうか不安しかないですが…


しかし、実に詩的である

用事のついでに、資生堂ギャラリーを覗くと

展示の入り口にあったディレクターズメッセージが、面白かった

"絵を描こうとする時、イメージ(画像)が頭にわく瞬間がある。これは人によって様々だ。味のような画像、色でさわっている触感、目で嗅いでいる香り…。これらは本人の記憶や経験(外的な力)と、刺激を受けた感性(内的な力)がないと生まれてこないそうだ。イメージすることは美術だけに限らず、新しいことを想像する時には大切にしたい作業だと思う。本人が持つ内と外、双方の力を重ね、その人の中でオリジナルの画像が浮かび上がる。イメージの最終成果物でもあるモノゴトは、ゼロからはじまらないと言われるが、ゼロもゼロからはじまらない、と考えてみた。では、どこからはじまるのか、ゼロは本当にゼロなのだろうか?―――" (本文抜粋)


ちゃんと意識したことはないけれど、このような感覚があるのはわかる

でも、じゃあ自分はどんなだろうと考えると、ちょっと面白い

しかも(私の場合)、文章書くときと、絵を描くときと、形を作るときとで、それぞれ違う気がするのだけど…

ちょっと意識してみてください

展示内容は、科学未来館的な展示だった

2017/10/30

コクチ『素材の展望展』+『TUAD STORE』@東北芸術工科大学 in山形


11月は東京と山形で、ほぼ同時期にグループ展示があります
(後日、東京の展示のコクチします)

まずは、
東北芸術工科大学(山形)で、4年に一度の工藝卒業生と教員の展示の参加と、同時開催の展示販売をいたします

素材の展望展
2017年11月11日(土)~19日(日)
10:00~19:00
※初日12:00~/最終日~16:00
東北芸術工科大学 本館7階ギャラリー

TUAD STORE 展示販売
2017年11月7日(火)~11月18日(土)
9:30~19:00
※土曜日は~14:30/日曜定休
東北芸術工科大学 学生食堂1階 TUAD STORE

http://blog.tuad.ac.jp/sozainotenbou/

 東北芸術工科大学
〒990-9530 山形県山形市上桜田3丁目4−5


クラフトフェア、ギャラリートーク、特別ゲストによるトークセッションなどもあるみたいです

私は行けませんが
山形は、良い所だし、季節も良いし美味しいものたくさんあるので、ご興味がある方は是非。
入試課のツイッターから写真を拝借
大学の正面
大学も良い所にあります

2017/10/29

“描け”


『かくかくしかじか』1-5巻 東村アキコ

なんでこれを読もうと思ったのかな…

美術系大学出身の人、これ、読んでっ、とりあえず。(特に30-40代)

あー、なんだろうか、というか、もうさ、美術系って人種は同じなのかな?
なんか、登場人物のほとんどが自分の記憶とかぶるのだけど
アート系の変人系統と学生生活ってテンプレートなのかな
あたかも不思議な人たち風に描いてるけど、むしろこの人種は懐かしい勢いだから…
いや、もっとわけわからない人ばかりだったよ…
私、普通すぎてポカーン…だったけどさ、
今や慣れてしまったから、逆に社会性があるアート系以外の人の方がわからなすぎて、アート系の中にいるとホッとしてる自分さえ自覚したよ…

しかも、いろんなことがかぶる…
なんだろう、ほぼ同世代で、美大受験決めた時期がほぼ同じで、大手予備校ではなくアットホームな美術研究所に行ってて、大学が地方で、それから、それから…

…後悔はしたくないのに、なんであの時にってのも、いなくならないとわからないのも、卑怯さも、弱さも、言い訳も……

だからなんか、色々ギシギシ来たけど
なんか、心が救われた
救われていいのかわからないけれど

ありがとう、東村さん

推薦落ちたのも、絵が下手すぎて試験中に周りの人の描き方を見て絶望したのも、そのまますぎて…本当に懐かしい…

でも、私の美術研究所の絵の先生だけは、全く違うかな
私を甘やかしすぎてたから、そして、それに甘えまくりで安住して、今に至るから…
たぶん、美術の才能がないのがわかったから、すぐに見切りをつけて、私の"甘え倒して世間を渡るスキル"を伸ばしてくれていたのかもしれない…と、今なら思う

あと、余談だけど、宮崎の人とか土地のあったかい雰囲気も、
今年行ったばかりだから、すごくわかって面白かった



大学の時、ちょっと教え方が鼻に付く感じの先生(本当に失礼です、ごめんなさい…)の座学で、
たしか宮沢賢治の最愛の妹の死を詠んだ"永訣の朝"だったと思う

その時に
(死別などの)深い悲しみを表現する(アウトプットする)ことによって、悲しみを昇華させ自身が慰められる、みたいなことを言われて

その時の私は、それがよくわからなくて、しかもなんとなく深い悲しみへの冒瀆な気がして、なぜかすごく頭にきて、その日のレポートに用紙ビッシリと反論を書いたことがあった
眠くなる内容だし、ほとんど誰もまじめに聞いていない授業だったので、解釈はどうあれ私みたいにいきり立って長文のレポートを出す生徒も珍しかったので、レポート評価は良かったが、コメントは批判的だったと思う

でも、それから数年後になんとなく気づき、
今になって、ようやくわかってきました

深く悲しいことや辛いことは、外に出した方が良いんだなって

すぐには無理かもだけど
時間かかっても、それを自己表現すること
向き合うのは、すごく辛くて大変だけど
その分、少しだけ傷が癒えるから
それは、自己満足で良いのだと思う

それを他人がとやかく言う筋合いはないんだし

けど、
私は、何度か同じような状況になったけれど、全部逃げて来てしまった
彼女は、何度もクズだと自分を罵るが、私はそれの上をいく臆病者のカスで
この先も、別れ"に面と向かい合うことができるのかさえわからなくて、負い目と不安が付きまとう

だから、語る資格すらないんだろうけれど


ただ、近い人たちには、
十分に苦しんだのだから、
今度はちゃんと自分を救ってあげてください、と思います

2017/10/26

カスタマーレビュー



Amazonで、仕事の材料を買おうと思い、探していたら
あまりカスタマーレビューを書くような品物でもないのに、8件もあったので
興味本位でコメントを読んだら、ほとんどが全く予想しなかった用途で高評価をつけていて、ちょっと感動した

https://www.amazon.co.jp/gp/aw/reviews/B005G2O0FI/ref=cm_cr_arp_mb_viewopt_srt?ie=UTF8&sortBy=recent&pageNumber=1

日本画用って書いてある商品なのに

ま、私も陶芸に使うのだけれどね

しかし、やっぱり膠は汎用性高いなぁ

こういうカスタマーレビュー欄を見るとワクワクする


…って、今、初めて知ったけれど…
面白いカスタマーレビューのまとめサイトや大喜利的なものが存在しているのか…

いや、それは別の意味で面白いかもしれないけどさ、

膠液のレビューみたいに、ハートにグッとはこないんだよなぁ

しかし説明されても、それぞれが専門的すぎて、いまいち用途を理解できないのだけど…

あ、こんなことに萌えているのは、私くらいか…

ちょっと感動したから…つい

私も、レビューしてみるかな

2017/10/13

創作という名の、霞

カナダ在住のアーティストのEちゃんから
この人知ってるぅ〜?
と、聞かれた時に、池田学をはじめて知ったのが数年前

他のアート同様に、細密ペン画をしている人は沢山いるのだが、
有名になれるかなれないかは、
結局、運と努力なのかもしれない
もちろん才能はありきの話だけど
世の中、絵が上手い人なんて腐るほどいるんだよな…

先日まで、高島屋本店で池田学展があったので見に行くと
メディアに沢山取り上げられたからなのか、平日の昼なのに人がたくさんいた

佐賀県立美術館の方のポスターですが…
こっちの方が好きなので

暇なのは、じいさんばあさんと私くらいなものだから、年齢層が高めで
みな、ほぇ〜とか、細かいね〜、よくみえんよ、これは何かね…とかつぶやきながら見ていた

じいさんばあさんが好むようなアートじゃないと思うが、
この世代を動かすのはテレビと新聞なので、きっと大きく取り上げたのだろう

都内の美術館での展示ではない事を気の毒に思ったが、
アートに関心がない大衆層にも垣根を広げるには、百貨店の方がいいのかもしれないと、客層を見ながら思う

池田さんも言っていたが、
今のご時世、ネットで探せば、作品は見れるし、
特に平面作品の場合は、それで満足されてしまう場合がある

下手すると細密画だと、画質さえ良ければ、簡単にマクロにもミクロにもできるので逆に見やすかったりする

でも、サイズ感を掴めないのが二次元の難点で、
そのサイズ感がたぶん一番重要だったりする(アートに関わらず)
Rebirth, 2016. Pen & ink, 13 x 10′ (300 x 100cm). Courtesy the Chazen Museum of Art.
photo from http://www.thisiscolossal.com/2016/11/rebirth-manabu-ikeda/

漫画家が使う丸ペンの一番細いものを使っているらしいです
Manabu Ikeda at work, still from Clayton Adams.
photo from http://www.thisiscolossal.com/2016/11/rebirth-manabu-ikeda/

食肉処理場のベルトコンベアみたいに、絵から絵へと動いては、合流や脱退の増減を繰り返しノロノロと進んで行く生肉を想像しつつ
そのプロセスに自分も組み込まれて、会場内を回る

こんな人いきれの中で決められた手順で作品を見るのは、
気分も削がれるし、好きなように見なきゃ作品に失礼だと思うが、
日本だと仕方ないんだよな…と、作品の箸休めとして、眼前に迫るおじさんの頭皮を見つめる

あぁ、バベルの時もそうだったな、と白髪に繋がる毛穴を見つめながら思い出す

あの時など、怒り出す老人がいて、警備員がなだめていた…

そういえば、バベル展(東京都美術館)の感想は書いてなかったから、ここにまとめて書いてしまおう


私は絵が描けないから、とにかく絵が描ける人は尊敬する
池田さんの作品は、
たしかにすごかった
本当に時間がかかる仕事だし、
細部と全体(ミクロとマクロの視点で)の構成のバランスがとても綺麗だった
そして、すごく丁寧
あの作品サイズで、あの細かさを1㎝四方の中でさえ、手を抜いていない真面目な仕事をしている感じがした

つい職業病で腱鞘炎を心配してしまう

細密であれだけ大きいと、人はその仕事量に有無を言わさずに圧倒されてしまうんだろうな
とにかく細密画では信じがたい大きさである


この動画は、 Chazen Museum of Art(ウィソコンシン大学の美術館になるのかな)でのArtist-in-residence program時の制作風景(1枚の絵に3年3か月掛けて制作)で、工程がすごく分かりやすい動画

http://www.thisiscolossal.com/2016/11/rebirth-manabu-ikeda/
↑英語のarticleだけど、上の写真も動画もここから拝借した。
とても分かりやすくて良いです。


でももしかしたら、大きな作品をみるより
東京動物園協会の季刊誌の挿絵の動物の写実をみる方が純粋な画力みたいなのがよくわかるのかも
Canis latrans,2008,Pen & ink,19.3 x 16.2 cm

マクロとミクロの目を持ているのが、ものすごい才能なんだろうな
予兆,2008,Pen & ink,190×340㎝  photo from saga prefectural museum
ただ、混んでいて、好きに見れなかったのが、本当に残念だった
また、どこかの機会に、ゆっくり鑑賞できたらいいな
たしか今回なかったけど、船の絵も見たいし


でも混んでいると、周りの会話が聞こえて面白かったりもする

池田さんの作品は、細密画によくある遊び(ウォーリーを探せとか安野さんの旅の絵本みたいな楽しみ方やトリックアート的な楽しみ方)があるので、
あぁ!こんなところに〇〇がいる!これはよく見たら一つ一つが〇〇なのね!みて、あそこは〇〇をしている!とかアートに興味なくても万人が楽しめる仕組みになっている
安野光雄『旅の絵本Ⅶ』(中国編)より

"きっと描いていて楽しいんでしょうねぇ"、と近くにいた老年の女性が呟く

池田さんの気持ちは知らないけど、
私もこの言葉を本当によく言われるが、現実は全く楽しくない…
彼はどうだろうか…

途中、後ろに背の低いばあちゃんがいた、彼女は、見えなかったり、何かわからなかったりすると、私に尋ねてくるので、簡単に説明したりしていた

あと、おしゃべりな3人のマダムの会話もおもしろかった
"この人、芸大なのね。"
"さすがねぇ。"
"そーいえば、芸大卒の半数以上が、消息不明になるんだってよ。"
"すごいわよね〜"
という会話をしていた …

え?そうなの?芸大卒の知り合い、割といるけど、私の芸大以外の知人よりよほどしっかりしているが、これはまさか、missingしていない半数以下の貴重な人たちなのかな…

池田さんの興亡史シリーズのところで、小さな作品を見ながら(S0号より小さかった気がする…)
"4,5年前にこの作品を銀座の○○画廊で3万円で売ってたら、たっけぇなァ~て思うだろうなぁ"と、後ろのおじさんが大きな声で呟くのを聞いて、複雑な気分になりながら進むと
眼前に"興亡史"の城の大作が見えて、バベルを思い出した
興亡史,Pen & ink,200×200cm  photo from saga prefectural museum
池田さんの作品は写真に作品サイズを書いているので、注意してみてください
例えばこれなら"2m×2m"ですからね!!
サイズはかなり小さいが、細かさで言うと、ブリューゲルのバベルは、凄まじかった
視力だけが取り柄の私でさえ裸眼で追えない…
しかも、油彩であり、筆で描いているという脅威

The Tower of Babel (Pieter Bruegel the Elder, 1570)

バベル展は、上半期一番楽しみにしていた展示だった
理由は、まだ見たことのない2枚のヒエロニムス・ボスの作品が初来日だったからなのだけど

25点のみが、世界に現存するボスの絵だと言われているが、昔から好きな作家なので、10代から機会があれば海外の美術館に行くたびに探した
ので、たぶん、すでに10枚くらいは実物をみていると思う(真作らしい"のも含む…)
今回来ていた2枚の内の一つ『放浪者』
たしか、この絵は、数枚の組絵作品だったはず(だからこれは丸い形)だけど、今はバラバラになっていたはず
Hieronymus Bosch: The Wayfarer, circa 1500–1510

バベル展は、表題のブリューゲルとボス以外にその時期の作家や工房作品が色々来ていたが、さほど好みの作品はなかった(彫刻は面白かった)

エッチング(銅版画)作品もいくつかあった、
モノトーンな細密画とエッチングの相性の良さは言うまでもないが、
逆に、相性が良すぎて素人目には違いがわからないと思う
エッチングの作品
ピーテル・ブリューゲル1世(下絵) / ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(版刻)
「大きな魚は小さな魚を食う」 1557年 Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands 


池田さんも、エッチングを数点出していた
やはり、相性がよく
同じ手間をかけるなら、エッチングにして枚数を増やした方がよほどお金になるだろうな…と素人は思ってしまう

池田さんのインタビューで聞かれていたが、
宮崎駿に似ていると言われているらしい
(彼自身は影響を受けたアーティストはいないと言っていた)
それをいうなら、大友克洋にもでしょ(大友さんは、バベルで内部を描いていたな)
宮崎駿『風の谷のナウシカ』(原作漫画)より
大友克洋『AKIRA』より、一部分
大友克洋による、バベル内部
大友さんの手描き内部をデジタル技術で融合したらしい

我々の世代は、アニメーションや漫画などから多大な影響を受けているから、無意識のうちにそれが出てしまうのは仕方ないんだろうな
特に、ファンタジーやSFをテーマに描いていると如実に辿ってしまう

だから、そういうものたちの寄せ集めの池田さんの作品やモチーフに既視感を覚えるのは、仕方のないことで(そもそも、たぶんモチーフの選択が自然物と既製物や人工物だし)

余程、草間さんのようなご病気か、ドラッグを使えば突拍子も無いものがうまれるかもしれないが、LSDや瞑想でsatori "してまで描くよう不健康さや狂気は池田さんからは、全く感じない

あと、もちろんアニメーションや漫画だけでなく、それまでの自分が目にしたアート、デザイン、物語、映画、自然物…全ての影響下に我々の思考は存在する

現代において、センス=知識量だと言われているから、知識と経験が多ければ、センスはおのずと身につくのかもしれない

情報に溢れ、なんでもネットで調べられるこの時代だからこそ、
(老衰した私の脳細胞に深く刻み込ませるためにも)本物を見ることの大切さがあるとは思う
Jean Henri Gaston Giraud
Jean Henri Gaston Giraud
超有名なフランス人漫画家

人間にとって何も明かされてない時代
たとえばロウソクの光が届く範囲しか見えず暗闇や悪魔が存在した時代とか
科学的解明がなされず錬金術や天体の研究で、魔法や精霊がいた時代とか、
そうゆう不明瞭や不可思議が溢れていた時代の人たちの作品、
たとえばボスやブリューゲルの時代の作品は、見たことのないものが存在していて、今でも私をドキドキさせる
ボスの絵から生まれたフィギュア
figurines by Netherlands-based Parastone

でももう、そうゆうことは、どんどん少なくなっていくのかもしれない

それを考えると、すごく悲しかった

ただ、それに近いものを体感できるとしたら、まだ、文学と旅の中には、あると思うのだけど…

それは、私の願望なのかな…

新聞世代にもわかるペン画だと、
去年まで朝日新聞連載小説の沢木耕太郎の春に散るの挿絵を描いていた、中田春彌
この人もうまくて、よく挿絵をみていた(これで知ったけど)

今回、名前をあげたのはすごく有名な人ばかりだけど、
本当に世の中、超絶的に絵がうまい人はいっぱいいてキリがない

きっと絵がうまいだけじゃ、有名にはなれないんだろうな
逆に、絵がうまくなくても有名にもなるし
絵の才能よりも有名になる才能が長けている方が、絵を描き続けることができるんだろうなぁ
両方持っている人も、もちろんたくさんいるけど

話は変わるが、
たしかtumblrで見つけて、画像保存していたが
link先がわからなくなって、これ誰が描いたか知りたいのだけど
ご存知の方いますか?
なんかこの人、見たことあるんだよな…
私に似ているとか、そういうことではないと思うけど…