2017/12/08

人生の1時間半を捧げる




そんな価値のある映画を作ろうとした、『人生はシネマティック』

1940年、第二次大戦下のイギリスでの戦意向上のプロパガンダ映画制作の話

原題:Their Finest(Their Finest Hour and a Half)

やっぱりヨーロッパの映画っていいなぁ、って思うタイトル通りの映画。

台詞回しがすごく良かったし、
特徴的な台詞が何回か違う場面で違う人が使ったりしていたのだけど、
その中でなんとなく引っかかった台詞

ちなみに本職のうまい対訳は、全く思い出せないけど、
ネットから英文スクリプトを引用してストーリーを思い出してニュアンス超訳(すみません)


大家さんの奥さんが空爆で亡くなり、壁越しにその旦那さんが一晩中泣いていたのを聞いていた情報省のフィルが、答えを出せないでいるヒロインのカトリンへ向けて言ったセリフ

"It seems to me when life is so very precarious, it's an awful shame to waste it."
"いつ死ぬかわからないのだから、無駄にするのはすごく勿体ない。"

日々空爆があるロンドンで、死に直面しつつも、生きることに前向きな人たちの感覚は、現代日本人にとって本質的には理解できないと思う。
人生が限りある時間であることが、なかなか実感できなく、逆に(長寿の意味で)いつ死ぬのかわからないがために、無為に過ごし、失敗を恐れ、決断ができない昨今の日本では想像しにくい。



喪失感に囚われたカトリンを訪ねて行って、ビル・ナイが演じる老年の俳優が言うセリフ

"You and me given opportunities only because young men are gone. But to turn our back on those opportunities, wouldn't that be giving death dominion over life?"

"我々にチャンスが回ってきたのは、若い男たちが、(戦争に行って)いないから。そのチャンスをないがしろにするのは、生が死に囚われてしまっているんじゃないか"

偏った見解ではあると思うが、
以前、女性の社会進出と徴兵制の相互関係に触れていた人がいて、なるほどと思ったことがある。
また、たとえば、ルワンダなどは、内戦による大量虐殺で実際に男性が少なく、女性の社会進出が著しくなった国もある。

もちろん、1940年代の大戦下で、事実英国でそのようなことが起こったかは、わからないが、
戦後の数年、やはり人材不足からどこの国も復興のために表舞台に立てずとも活躍したのは、当然、生き残れた人たちだと思う



映画にとんと疎くなったので、わからなかったが、
相手役のサム・クラフリン、カッコよかったな
皮肉屋の英国紳士でファッションが好みだったんだけど

ま、ビル・ナイの役が一番良かったけれど

映画の中で制作していくプロパガンダ映画の題材は、ダンケルク"なのだが、

その年に起きた戦い(事件?)をすぐに扱うという速さが、戦時下の映画なんだろうなと思うのだけど、ダンケルクって負け戦だったはず…
救出作戦とはいえ、1940年代の日本では絶対にプロパガンダ映画に負け戦の題材持ってこない気がする
神風がやんじゃうし、負けてても勝っている風にするだろうし…
いや多分、今の北朝鮮をはじめ、そもそもアジア諸国は、プロパガンダに負け戦は使わないんじゃないかな…

戦争映画とホラー映画は、怖くて見れないから、見てないけれど、
クリストファー・ノーラン監督が、そのまんまダンケルクの戦いを題材にしたDunkirk"って映画が、今年の9月くらいに上映していたみたい

今年は、ダンケルクの戦いがブームだったのかな

本当は、"Paterson"を見るはずだったのに、先週に終わっていました…
もう、パソコンでみようかな…

でもこの映画はよかった


0 件のコメント: