今日で最終日です(4時までです)
今回は、ふくちあやコテン”ということで、文字の分量がかなり多かったです(これ以外にも)
即売なので、そのままお持ち帰りいただいていました
いろいろ中抜けになっていた作品もあるので、ここに載せておきます
流し見の人が大半でしょうが、文章を楽しんでいただいた方もいて、
箱シリーズをここにまとめて載せておきます
じつは、作品よりも文章楽しんでいただけるほうが、うれしかったりするのですが・・・本末転倒です笑
『はなさか爺さん』
その日、嫌な予感はしていた、
大好きなご飯の時もシロはふさぎ込んでいたし
外はどんより曇っていて、おばぁさんの腰もその日は一段と痛むようだった
何か音がして、雨かと思い窓の外に目をやると、
隣のじぃさん、ひょこひょこやってくるところだった
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『金太郎』
クマに相撲の勝負を挑もうとする人の子がいるという話は、
その森じゅうに、あっという間に広まった
動物たちは、見え透いた勝負だとひやかしに行くことにした
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『サルカニ合戦』
3年以上待って、やっとたわわに実った柿の木に昇ったサルは
地面で這いつくばりこちらを見上げる蟹をいとわしく思った
どうせ、蟹の奴は昇れぬのだと、優越感から悪意がにじみ出ていた
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『狐の嫁入り』
今日は、お紺が嫁入りする日
遠いお山で狐火ゆれる
晴れ間にそそぐ雨でやんわり
白無垢かくして、一行通る
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『聞き耳頭巾』
その頭巾をかぶると、急に周り騒がしくなった
鳥の綺麗な鳴き声も、すべて彼らのおしゃべりに変わり
動物たちの仲間同士の合図も、意味のある言葉となって聞こえ始めた
一番驚いたのは、樹の葉擦れや枝の鳴る音さえ、話し声になっていた
静かだった森のなんと騒々しいことか!
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『花嫁になったネコ』
猫を拾ったのがそもそものはじまりだったのだ
いつのまにか仕事を手伝ってくれて、飯まで作ってくれて
最後には、神様にお願いしに行って
かわいい娘っ子になって嫁にしてくれというんだ
信じられるか?
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『カチカチ山』
カチカチ山のタヌキさん♪
焚き木を抱いて、燃やされてっ♪
焼けどして、辛子塗って、また明日♪
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『桃太郎』
きび団子一つで、鬼退治まで協力してくれるとは…
よもや、ばぁさんが団子になにか、まじないでもかけたのか?と
桃太郎は配下の動物をこっそり見やった
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『桃太郎』
どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、と
大きな桃が流れてきたのだ
それは大きく艶やかで、ねっとりした甘美な匂いをあたりに漂わせていた
喉の奥がグググっと鳴るのを感じた
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『浦島太郎』
悪がきを蹴散らしたくらいなのに、カメはたいそう感激していたが
さすがにお礼がしたいと申し出てきたときは、耳を疑わざるを得なかった
もしもその時に暇じゃなかったら、こんな話などまともには聞かなかっただろう
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『金太郎』
「この魚を捕まえればいいの?」と聞くと
周りにいた動物たちは期待で目を輝かせた
「ボクに頼りすぎだよ」と金太郎は聞こえない様にひとりごちた
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『因幡の白兎』
うさぎは、涼しげな顔でうそぶいた
「ねーねー、サメくん、ボクが背中を跳びながら
キミらの数を数えてあげるよ。
さぁさぁ、向こうの岸まで一列にお並びよ」
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『うさぎと亀』
カメは、はじめからわかっていた、
どうしたって走りでは、勝てないということに
でも、やって負けるのと不戦敗とは違うと思った
それに、試合はまだ始まっていないのだから
まだ、負けてはいないじゃないか
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『カチカチ山』
カチカチ山のタヌキさん♪
うさぎに騙され、沼行って♪
舟のって、沈められて、また明日♪
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『おむすびころりん』
ぺったんぺったんぺったんこ♪
今日のおむすび、具は何か♪
梅か、昆布か、ツナマヨか♪
ぺったんぺったんぺったんこ♪
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『分福茶釜』
和尚さんが茶釜を火にかけると
とんでもなく奇妙なものが茶釜から二本生えて、飛び跳ねた
「ぎゃひんっ!!あちちちちちちちちっっっ!!」
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『月に昇ったうさぎ』
うさぎの瞳は、泣きはらして真っ赤になっていた
「何のお役にも立てないから、せめてボクを焼いて食べてもらいます」
その場にいた誰もが、息をのんだ
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『こぶとり爺さん』
その晩ときたら、飲めや歌えの大宴会だった
あまりに楽しくて、たき火の前で踊り狂い、鬼たちと大いに笑った
気づいた時には、東の空が明るんで一番鶏がなく刻になっていた
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『一寸法師』
木椀の小舟は初めこそ快適だったが、
下流になって川が大きくなるとバランスがとりにくくなった
特に魚なんかが、興味津々で見にくる時なんて、
揺れのひどいことといったらない
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『笠地蔵』
手持ちの新しい笠は、もうなかったのだ
雪はどんどん降り積もるし、家まではまだ遠かった
しかし、ひとつ足りなかったお地蔵さんのかわいそうなこと
いたたまれなくて、結局、自分の古びた笠をかぶせることにした
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『はなさか爺さん』
満開の桜の木の上から見下ろすと
そこにいないはずのシロの姿があった
シロや、ありがとう
涙でシロの姿が霞まぬようにこらえるのに必死だった
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『舌切り雀』
大きいつづらや、どんどこどん♪
小さいつづらで、どどどんどん♪
ごうつくばりには祟りあれ♪
謙虚なお人には幸よあれ♪
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『猫とねずみ』
クロが最近、蔵の方によく行くのは気づいていた
きっと何か面白い遊びでも見つけたのかと、それくらいに考えていたのだが
その日、クロに呼ばれて蔵に行くと、驚いたことに
ネズミの親子が豆のお礼だと小判を携え待っていたのだった
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外国の童話シリーズ
(佐賀の個展時に、作成)
『人魚姫』
いつも、水面を透かして見ていた愛しい人
ずっと視線を交わしたくって、触れてみたかった遠い人
今宵の嵐の海で、
初めて間近で見た彼の顔は青白く、
触れた肌は、驚くほど冷たく、
交わすべき視線は、虚ろだった
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『雪ばらと紅ばら』
くまさん、くまさん、
あなたはどちらをお選びなるつもりかしら
どちらもなんてそんな優柔不断な態度はダメよ
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『ピーターパン』
船のヘリには、もうチクタクワニが待ち構えていた
ピーターパンはニヤリと笑って、
「愛しのフィアンセがお待ちかねだよ」
と、匕首を片手に身軽に跳び上がった
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『三匹のこぶた』
三男が、あらかたの施工計画を話すと
「そんな面倒なことをするのかっ?!」
と、長男と次男が素っ頓狂な声を上げた
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『白雪姫』
「おや、そこのかわいらしいお嬢さん、
林檎は、いかがかね?美味しいもぎたての林檎だよ。」
白雪姫が、声の方へ振り返ると、
そこには醜い老婆が林檎を持って笑っていた
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×××××××××××
″その日もやはり、落ち着かなくて
息をととのえてから、
何度目かの、子供っぽいおまじないをかけた″
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