どうでも、良いことなのだが
昔の記憶がどんどん薄れていく一方
ある一つの記憶が異常に脚色され記憶にとどまることがある
それが、自分の人生に、大して影響が無さそうなものに限ってな気がする
その逆に、覚えておかなきゃならないことなんかが、簡単に風化していく
覚える必要も願望もないのだが、
あまり学生の時の記憶がない
特に、中高は本当に思い出せない
小学校時代もしかりだが、
今だに、何度も思い出す光景が3つほどある
その中の一つが、かえでくん
時々、これは自分が頭の中で作り上げた映像なんじゃないかなと感じる時もあるけど
かえでくんに関しては、今だに事あるごとに、何度も思い出す
かえでくんは、元気だろうか
どんな大人になったのだろうか
かえでくんは、怒りのパワーがすごかった
癇癪持ちの私も、爆発の仕方はそれと似ていたが、
体裁というものが、人一倍強かったせいで、外にはなかなか出せなかった
体裁というものが、人一倍強かったせいで、外にはなかなか出せなかった
だが、彼の場合、一度導火線に火が付くと、その凄まじさは誰も止めることができなかった
いつもは、ほとんど感情を出さない口数の少ない静かな男の子だった
体も大きくないし、どちらかというと、小さく少しずんぐりむっくりした黒縁メガネの男の子だった
何が原因だったのかわからないのだが、彼の怒りに触れると、教室中のありとあらゆる椅子や机が宙を舞うことになる
そして、先生さえ彼を止められなかった
しょっちゅうあったわけではないけれども、私は5回ほど見かけたことがある気がする
その日も、何が原因だったのかわからないが、
廊下に人だかりができていて、教室の中をのぞくと、めちゃくちゃになった机と椅子の中
一人残ったかえでくんが机を大きく振りかぶり、教室の前方に投げていた
放課後の教室は電気がついていなくて、少し暗くなっていた
晴れた空は、少し夕焼けで染まっていて、
窓の外の澄んだ景色と逆光気味の教室の薄暗さで、表情が見えないかえでくんは、鉄人28号みたいだった
教室の中に響き渡る、机や椅子がぶつかり合うパイプ音だけが、そこに存在していて
かえでくんからは、何の音も出ていなかった気がする
恐怖もあったけれど、共感が強かったし、なんだか少しうらやましくもあった
かえでくんは、ちょっとしたヒーローに見えた
積み上げられた机と椅子の中で息巻く、孤高のダークヒーロー
私の癇癪持ちは、いまだかわらず、この歳になっても、それに付き合うのに少し苦労する
かえでくんも、きっと自分の怒りを持て余していたのだろう
強大な癇癪は、時に自己を失い、何に腹を立てていたのか、もう訳が分からなくなる
だけど、その熱量だけは腹の奥底からマグマみたいにせり上がってくる
とめることなんてできない
それは、我慢してもしなくても、すごくしんどい
グツグツ煮え立ったマグマを外に放出しないことには、頭がグラグラして息さえできなくなる
けど、噴火させた後に残る、疲労感と自己嫌悪もまたどうしようもなくて、押しつぶされそうになる
どうしたら、癇癪をおこさず、なおかつ、感情がねじれたりせず、腐った根を張らないで済むのだろうか
かえでくんも、机の転がる教室の中で、
自分を突き動かした原因なんてすっかり忘れていたのだろう
ただ、どうしようもない強大な熱量を身体の外にとにかく出したくて
椅子や机を投げ飛ばしていたんだと思う
かえでくんは、20年以上たった今、どんな大人になったんだろうか
と、制作しながらぼんやり考えていた
<展示のお知らせ>
ふくちあやこ作品特集
http://fukuchiayako.blogspot.jp/2015/02/concerning-my-new-exhibition.html
2015年 2月25日(水) 〜 3月17日(火)
午前10時~午後7時
(3月3日(火)、10日(火)および最終日は午後4時閉場)
そして、先生さえ彼を止められなかった
しょっちゅうあったわけではないけれども、私は5回ほど見かけたことがある気がする
その日も、何が原因だったのかわからないが、
廊下に人だかりができていて、教室の中をのぞくと、めちゃくちゃになった机と椅子の中
一人残ったかえでくんが机を大きく振りかぶり、教室の前方に投げていた
放課後の教室は電気がついていなくて、少し暗くなっていた
晴れた空は、少し夕焼けで染まっていて、
窓の外の澄んだ景色と逆光気味の教室の薄暗さで、表情が見えないかえでくんは、鉄人28号みたいだった
教室の中に響き渡る、机や椅子がぶつかり合うパイプ音だけが、そこに存在していて
かえでくんからは、何の音も出ていなかった気がする
恐怖もあったけれど、共感が強かったし、なんだか少しうらやましくもあった
かえでくんは、ちょっとしたヒーローに見えた
積み上げられた机と椅子の中で息巻く、孤高のダークヒーロー
私の癇癪持ちは、いまだかわらず、この歳になっても、それに付き合うのに少し苦労する
かえでくんも、きっと自分の怒りを持て余していたのだろう
強大な癇癪は、時に自己を失い、何に腹を立てていたのか、もう訳が分からなくなる
だけど、その熱量だけは腹の奥底からマグマみたいにせり上がってくる
とめることなんてできない
それは、我慢してもしなくても、すごくしんどい
グツグツ煮え立ったマグマを外に放出しないことには、頭がグラグラして息さえできなくなる
けど、噴火させた後に残る、疲労感と自己嫌悪もまたどうしようもなくて、押しつぶされそうになる
どうしたら、癇癪をおこさず、なおかつ、感情がねじれたりせず、腐った根を張らないで済むのだろうか
かえでくんも、机の転がる教室の中で、
自分を突き動かした原因なんてすっかり忘れていたのだろう
ただ、どうしようもない強大な熱量を身体の外にとにかく出したくて
椅子や机を投げ飛ばしていたんだと思う
かえでくんは、20年以上たった今、どんな大人になったんだろうか
と、制作しながらぼんやり考えていた
<展示のお知らせ>
ふくちあやこ作品特集
http://fukuchiayako.blogspot.jp/2015/02/concerning-my-new-exhibition.html
2015年 2月25日(水) 〜 3月17日(火)
午前10時~午後7時
(3月3日(火)、10日(火)および最終日は午後4時閉場)
日本橋三越本店
本館6階 美術工芸サロン
本館6階 美術工芸サロン
(Ayako Fukuchi)
February 25 - March 17, 2015
At 6F Mitsukoshi art salon, Nihonbashi, Tokyo
February 25 - March 17, 2015
open from 10:00am - 7:00pm
(March 3th, 10th, and 17th open from 10:00am - 4:00pm)
At 6F Mitsukoshi art salon, Nihonbashi, Tokyo
FREE
I have my new exhibition for the first time in a year.
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