未だに、真偽のほどはわからないが
もし仮に、ウソだったとして、
どんな意味があって他愛のない作り話をしたのかよくわからないし
それを、初対面に近く、その時にたまたま居合わせた私に話す必要があったのかよくわからない
単なる暇つぶしにしては、やたら詳しくて、面白かったし
唐突な話だったから、眠気覚ましにするには、ちょうどよかった
それがものすごく詳細かつ鮮明なもので、にわかに信じ難くもある内容な気がしたが、知る限りでは辻褄が合うし
なにより、調べようがないことだったから
"本当だ"と私が信じてしまえば、まことの話となるのだろう
誰も傷つかないウソで、尚且つ、誰も喜びもしない話で、
変哲もないその時間に色彩が出るのなら、それは、面白い小説と同じであると思う
その日は、交代で寝ずの番をしなければならずに
20歳くらいは上の人と二人で火の前で暖をとっていた
はじめは他愛もない話をしていた
少し飲んでいたので、普段はさほど話さない人だったが、その夜は舌が滑らかで、ポツポツとだが途切れることなく話していた
少し飲んでいたので、普段はさほど話さない人だったが、その夜は舌が滑らかで、ポツポツとだが途切れることなく話していた
どんな話の続きだったか忘れたが
自分は大してパッとしない人生を送っているが、自分に関わった人がものすごく有名になっているという話になった。
自分は大してパッとしない人生を送っているが、自分に関わった人がものすごく有名になっているという話になった。
はじめは、よくある類の話だと思っていたが、あまりに内容が込み入りすぎていて、聞いているうちににわかに作り話とも思えなくなった
彼は年若い時に、幼馴染の女の子と恋に落ち、お付き合いをした
だが、歳の若さもあり、ある事情から別れなければならず、そのまま疎遠になってしまった。
だが、彼女は彼の子を身籠っていて、若い身空で男の子を産んだ。
彼女にはお嫁に行ったお姉さんがいて、姉夫婦にはすでに子供もいたので、彼女は年若い未婚では育てられないと姉に養子として引き取ってもらうことにした。
彼が、子供のことを知ったのは産む直前だったのだが、その時に一度彼女に偶然会っていた。
彼はまだ経済力もなく、やりたいことが夢半ばの時期だった
彼女は認知はしなくてよいとキッパリと告げたが、名前だけは付けてくれと頼んだ。
彼は名前を考え、そして、もし覚えていたらと、ひとつ息子にやらせて欲しいことがあると何気なく頼んだものがある。それは、彼の趣味でもあった。
彼女は、産まれてきた子にその名をつけて、育ての親となる姉夫婦にそのことを告げたのだろう。
その何年か後、彼女の姉夫婦は、引っ越してしまい、成長の過程を知る由もなかったのだが
その何年か後、彼女の姉夫婦は、引っ越してしまい、成長の過程を知る由もなかったのだが
約束を律儀に果たしてくれていたとわかったのは、ある世界でその子の名前を見たときだったそうだ。
あの時、道端で話した小さな約束を十数年後にみたのだ
…私の記憶をたどり、かいつまむとこんな感じである
(内容は一部ぼやかしています)
その少し前に、本でその世界の話を読んでいたこともあり、合いの手を入れる私に、彼は、よく知っているね、と嬉しそうに話してくれた
顔も言われてみれば、似ている気もする…いや、歳をとった今などかなり似ている…が、作り話にできる話でもある
だがもし、それが作り話だったとして、なぜこんなにも詳しく話したのだろうか、と少し可笑しくなった
顔も言われてみれば、似ている気もする…いや、歳をとった今などかなり似ている…が、作り話にできる話でもある
だがもし、それが作り話だったとして、なぜこんなにも詳しく話したのだろうか、と少し可笑しくなった
この話ともう一つ、その人は、真実っぽい作り話(本当の話?)をしてくれたのだが
友人の作家が、ネタに困っていた時に、自分の破天荒な叔父さんの話を何気なく提供したのだそうだ
それが、今や有名な主人公のモデルとなったそうな
たしかに、作家と同年代だし、そのモデルについては、進言さてれいない
いまや、ネットでなんでも調べることができる時代だからこそ、
調べようのないところをうまくついて作り話をするのは至難の技である
だから真実の話であることよりも、これが作り話のほうが、
ネットをかいくぐり、そんなことが可能なんだと、なんだかむしろ感心してしまった
いまや、ネットでなんでも調べることができる時代だからこそ、
調べようのないところをうまくついて作り話をするのは至難の技である
だから真実の話であることよりも、これが作り話のほうが、
ネットをかいくぐり、そんなことが可能なんだと、なんだかむしろ感心してしまった
ウソマコトに関わらず、話が上手い人に会うと、尊敬してしまう
特に、自分の話をするのが上手い人は、本当にすごいと思う
彼がもし詐欺師だったら、完全に騙されているだろう
特に、自分の話をするのが上手い人は、本当にすごいと思う
彼がもし詐欺師だったら、完全に騙されているだろう
だが、詐欺師でもなんでもなく、喋りともまったく関係ない職業の人だということは周知だったのでよかった
そもそも、騙されたところで自分に被害さえない
だが、この話は、あの話していた空気感のままによく思い出す
遠くで鹿の鳴き声がして、辺りは真っ暗だった。
静まり返る山は黒く大きく背後に迫り、広大な自然の中にいるにも関わらず、灯りの届く四畳くらいの範囲だけが、周囲から隔離された空間のように感じた
私は、話好きな人だとよく思われがちだが、実際は、話を聞くのはすごく好きだけど、話をするのはものすごく苦手で、特に自分の話をするのが大の苦手である
話さず文字におこすのが好きだから、きっと典型的な現代っ子なんだろう
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