2020/06/08

猫の恋

85歳になる彼女は、博学で話していると面白く、関心することばかりである。
知り合いが、ブランド仔猫を飼ってすぐに怪我をして入院することになり、その仔猫を数ヶ月預かったそうだ。
仔猫はすくすく育ち、退院した元飼い主はなんとも複雑な気持ちになってしまったらしく、結局預かった彼女がそのまま引き取り飼い主になることになった。
以前も何匹か飼っていたが、ニャーというものなら野良だろうが血統だろうが、同じ猫だと思っていたから、こんな立派な猫は初めて飼ったと笑っていた。
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猫は、彼女の手元に来た時には、すでに避妊されていたらしく、少し残念そうだった。
今、飼い猫や野良猫の去勢避妊が主流であり、各地の猫ボランティアの活動の頑張りもあり、盛りのついた猫の声はおろか、野良猫自体が都内の彼女の近所では見なくなったと話していた。
俳句の初春の季語に、”猫の恋”というのがあるが、それが詠めなくなってしまうね、と笑っていた。
ちょうど、”ほしとんで”という俳句漫画を読んでいたので、”猫の恋”とは面白い季語だと覚えていたが、彼女の何がすごいかって、そういうのがすぐにでてくるところである。
”猫の恋止むとき閨の朧月” 松尾芭蕉
うちの方はまだ野良猫が叫びあっていて、つい先月、野良仔猫を保護したばかりだから、こちとら季語としてまだ使えそうである。
調べると面白いのは、
芭蕉以下の正風の俳人たちに好んで使われていたし、今も割と人気な季語らしいのだが、古くからだとその原形は平安時代にさかのぼるのだとか、
藤原定家に「うらやまし声もをしまずのら猫の心のままに妻こふるかな」(『北条五代記』)という歌があるが、このような卑俗な素材は、雅な和歌、連歌の世界ではあまり取り上げられることはなかった。  
(https://japanknowledge.comより)
野良猫の発情期はいつの世も激しく情熱的だったのだろう。
猫のためとはいえど、約1000年前から続く季節の風物詩がなくなるのは寂しいものである。
猫の発情期というと思い出すのが、萩原朔太郎の詩、
“猫”
まっくろけの猫が二疋
なやましいよるの屋根のうえで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のようなみかづきがかすんでいる。
『おわあ こんばんは』
『おわあ こんばんは』
『おぎゃあ おぎゃあ おぎゃあ』
『おわあ ここの家の主人は病気です』
(萩原朔太郎”猫” 青空文庫より)
表現力たるや…凄すぎる
萩原朔太郎の詩を初めて読んだのは、高校の教科書(“竹”かな)で、あまりの衝撃に頭を抱えたのを覚えている。
なんかもう怪我しそうなほどキリキリと張り詰めた糸みたいに繊細で神経質すぎて、そのうえ凄まじくスタイリッシュで、胃の痛みと共にド野暮な私などが読んではいけない崇高な作品な気がして、完全に気後れしてしまった。
なのに授業では、恐れ多くも彼の詩をアホな中高生に読解させようてしていたのだから…
今でも、この人の詩の格好の良さと繊細さには、気後れしてしまう。
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↑熊谷守一”斑猫”
人の世も猫の世も、いろんな意味で去勢避妊されて、淡白になってしまったのかもしれない。
平安時代の方が、歌を読むかぎり、よほど恋に情熱を注ぐ人生を送っていたのではないかと思う。
むしろ、いのち短しあの時代において恋しかしてないんじゃないかとさえ思う。
今は、それ以外にやることが多すぎるのかもしれない。
“遺傳”
人家は地面にへたばつて
おほきな蜘蛛のやうに眠つてゐる。
さびしいまつ暗な自然の中で
動物は恐れにふるへ
なにかの夢魔におびやかされ
かなしく青ざめて吠えてゐます。
  のをあある とをあある やわあ
□
もろこしの葉は風に吹かれて
さわさわと闇に鳴つてる。
お聽き! しづかにして
道路の向うで吠えてゐる
あれは犬の遠吠だよ。
  のをあある とをあある やわあ
□
「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
「いいえ子供
犬は飢ゑてゐるのです。」
□
遠くの空の微光の方から
ふるへる物象のかげの方から
犬はかれらの敵を眺めた
遺傳の 本能の ふるいふるい記憶のはてに
あはれな先祖のすがたをかんじた。
□
犬のこころは恐れに青ざめ
夜陰の道路にながく吠える。
  のをあある とをあある のをあある やわああ
□
「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
「いいえ子供
犬は飢ゑてゐるのですよ。」
(萩原朔太郎”遺傳” 青空文庫より)
いいえ子供、私が病んでゐるのですよ。


2020/05/24

旧約聖書Ⅱ

※ノートルダム

※2012年にガーゴイルの作品に付けた散文と、旧約聖書の名画 (その2)
スザンナ・サムソン・ソロモン・ユディト・ヨブあたりも作りたかったけど、作陶段階で力尽きました…


#ヤコブ


#ヨセフ


#ヨセフ夢解き



#モーセ



#ダヴィデ

2020/05/21

旧約聖書Ⅰ


※2012年にガーゴイルの作品に付けた散文と、旧約聖書の名画 (その1)

#天地創造

#アダムとイブ


#カインとアベル

#ノアの方舟

#バベルの塔


#ソドムとゴモラ


The Haywain Triptych (by Hieronymus Bosch in 1516)  https://arthistoryproject.com/


2020/05/16

箱書き

自粛している間に、5月の節句がおわってしまい、
ご注文頂いたので、箱書をしてみた。
すごいかっこいい名前に、大河的な浪漫を感じて、
裏は、花札風に仕上げてみました。
ふりがなって結構必要だと思って。




その間、仔猫を拾うという、謎なイベントに遭遇してしまい、

仔猫の介護をしながら、箱書まではしたが、
てんやわんやのうちに、日にちが経ってしまい、

ピアスの販売サイト作るって息巻いていたのに、このていたらく…

結局いつできるのやら…
既存の販売サイトを使うのが、一番楽だなっていうことだけは、把握しました。




2020/04/27

日本昔話

益子の”もえぎ城内坂店”にGW中(本来は陶器市期間)に置かせてもらうことになっていた
ので、作品を本日送るにあたって、こんな時世だしお店に連絡すると
GW中お休みになるらしい…

でも、送ってくださいとのこと
オンラインとか休業明けに展示することになるかも、と
どちらにしても、うちに置いといても仕方ないので
お店で扱ってくだされば嬉しいので発送する


facebookに骨書き段階をのせていたが
色をのせて、焼き上がりまして
焼成前

焼成後
笠地蔵
焼成前
焼成後

はなさか爺さん

焼成前
焼成後

ぶんぶく茶釜
焼成前
焼成後
サルカニ合戦
焼成前
焼成後
浦島太郎


焼成前
焼成後
こぶとり爺さん
焼成前
焼成後

かぐや姫

焼成前

焼成後

金太郎

焼成前

焼成後

鶴の恩返し
焼成前
焼成後

一寸法師
焼成前

焼成後

桃太郎
“こぶとりじいさん”を漢字変換したら、”小太り爺さん”としか出なくて、悲しくなる…

2020/04/26

納戸色

納戸色(なんどいろ)とは、藍染めの一つで、緑色を帯びた深い青色のことです。赤みの強いものを「縹 (はなだ)」といい、赤みが少なくやや鼠色を帯びた色を「納戸」といいます。別名、「御納戸色」。江戸城内の納戸の垂れ幕やふろしきに用いらてきました。 藍色の濃度により濃い順で、紺、縹、納戸、浅葱 (あさぎ)、甕覗 (かめのぞき)となります。 -読み:なんどいろ-
関連色:紺、縹、浅葱、甕覗
(“伝統色のいろは”より)
私の使う色は大概が”和絵の具”なので名前が、かなり風流なものが多い
しかし、納戸色とは…と、
字面だけだと、完全に色ではなく、家の納戸しか出てこない
テストピースを作るまで想像すらできなかった
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↑焼く前の納戸色の絵の具
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焼成後のテストピース
由来を調べてみたらなるほどと思ったが、関連色にある”甕覗(かめのぞき)”の方がすごい色の名前だなとも思う
大学の特別講義で染織史家の吉岡幸雄先生の授業で手に入れた“日本の色辞典”にも、納戸色について載っていた
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だいぶ前なので、印刷の色は少し変化したかもしれないが、
そこには、
納戸色
わずかに緑味のあるくすんだ青色。江戸時代に生まれた色名と思われ、青系統の色のなかではおおいに流行り、男物の裏地、木綿の風呂敷などに盛んに用いられた。錆納戸、藤納戸、桔梗納戸、鉄納戸、納戸茶、納戸鼠など、こじつけと思われる色名も生まれるほどもてはやされた。
名前の由来には諸説ある。一に納戸(物置)の暗がりをあらわすような色。二に納戸の入口にかける垂れ幕の色によく用いられたため。三に将軍の金銀や衣服、調度の出納を担当した御納戸方(役)の制服の色であったから。いずれも定かではない。
(吉岡幸雄”日本の色辞典”の納戸色より)
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私のよく使う大好きな色に”ドンロク”という色がある
下のキリンの背中に使っている色、少し納戸色に似ているのだが
もう少し青鈍色味が強いかな
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はじめ、”ドンロク”という音に、完全に日本昔話に出てくる、髭の濃いどんくさそうな村人をイメージしていた
↓こんな感じ
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こんな男性を想像しながらいつも使っていたが、
最近、漢字を知って、なんて美しいのかと驚いた
“曇緑(どんろく)”
完全に源氏物語に出てくる高貴なイケメンの殿にモデルチェンジした
しかし、色辞典にもネットにも載っていないので、由来はわからないのだが…
日本の色名は、本当に面白く、また風流である
ちなみに、落語の”出来心”に出てくる”花色木綿”
小三治さんの落語を聞いたとき、完全に小花柄の木綿生地を想像していた
花色とは、納戸色の解説にも出てきている縹色(はなだいろ)のこと
“縹”を”花田”とも当て字で記され、そこから”花色”に略され、初夏に咲く月草(露草)で色を染めたことに由来するとする説があるらしい
ちなみに、”縹”という漢字は、色の意味の他に、”遠い。はるかな。”という意味があります
本当に綺麗な言葉だな