●『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介
(2015年9月の北九州旅行中)
内容的に、旅行にはちょっとむかなかったけど、移動中に読んでいて成田に着陸と同時に読み終わった。ゆがんだ世界で、純粋でゆがんだ思考で進められていくちょっと胸くそ悪い話だけど、やめられなかった。ほんの読み始めの2ページ目の妹のミカのくだりが頭から離れなかったから、余計読み進めなければならなくなった気もする。視点が変わると全然違う世界が出来上がる。犬の名前は、ラッキー(lucky)っぽくないので→ダイキチ(大吉)となる。
7、8年くらい道尾さんの本を読みたいなと思っていたのに、なんとなく初道尾作品になってしまったけど、内容はともかく描写とか文章の表現は好きだなと思う。今年は残暑がなくて肌寒いので、真夏に読んだらまた雰囲気が出るんだろうな。
●『ソロモンの犬』 道尾秀介
(2015年9月末)
続けて道尾作品を読んでみる。動物がキーマン(ドッグ?)になる話を良く書くのか、たまたまなのか。ミステリーというか、青春群像劇。前半の丁寧な書き方とか、個性的なキャラクターや人間描写は面白かったけど、事件の真相については個人的にはあまり腑に落ちなかったかもな。riverside cafe SUN'sって…ま、書き方は面白いけどね。でもすぐに忘れそうな内容。犬の名前は、odebient dog=従順な犬、忠犬からオービー。
「男性は高い声の発生源に対して本能的に保護欲を抱く。赤ちゃんとかね。女性はそのことを先天的に知っているから、好きな相手に話しかけるときには体内で女性ホルモンが盛んに分泌されて、自然と声が高くなる。―」「一つアドバイスさせてもらうと、もし想いを伝えるときは、なるべく低い声を出したほうがいい。男性ホルモンの分泌具合をアピールできるから、成功率が上がるよ」 動物生態学の間宮助教授からの恋愛アドバイスです。犬を相手にするときに、声が高くなる人はよく知っているが…。
●『姑獲鳥の夏 上・下』 百鬼夜行シリーズ1 京極夏彦
(2015年9月末)
軽く辞書並みに分厚い文庫本の百鬼夜行シリーズの中で一番薄めらしいが(630頁)、重いと手が疲れるので、上下巻に分かれているモノにした。
有名な作品なので言わずもがなだろうが、実際存在は知っていたけど、苦手なホラー小説で、すごい怖いのかなっと敬遠していたのだが、はっきり言って、ホラーじゃない、ミステリーというか…個性的なキャラクターと彼らの掛け合いと薀蓄と世界観とおどろおどろしい雰囲気を楽しむ小説だと思う。
自分が割と好きな時代設定(太平洋戦争直後)なこと、好きな職業の主要登場人物ばかり出てくるのと(偏屈で理屈屋の陰陽師兼古書店主・躁病で変人な華族探偵・鬱病で対人恐怖症のモノ書き・角刈り強面の熱血刑事・明朗活発でボーイッシュな女編集記者)、それぞれのキャラクターがあまりにも立ち過ぎているのでちょっと漫画っぽくて、勝手に彼らが動いてくれるので読んでいて愉しい。
●『魍魎の匣 上・中・下』 百鬼夜行シリーズ2 京極夏彦
(2015年9月末)
前作が京極さんのデビュー作だったことを知って驚いた。ということで(?)前回よりも、一段とおもしろくなっている。ちなみに今回は1060頁もあるので、こちらは3冊に分かれている…ちょっと長い。日本の文学のじめっとした湿度感とか、背徳感のある美しさとかぞくぞくする艶めかしさみたいな美意識がとても好きなのだが、そういった雰囲気が前作以上にあった。乱歩っぽいな。中でも鬱病文士・関口の病んだ心象描写と変人探偵・榎木津の飄々とした言動が、個人的にとても好み。相変わらずの京極堂(偏屈古書店主)の多岐にわたる蘊蓄がつらつらと書かれているけど、中でも霊能師・占い師・超能力者・宗教者についての区分(住み分け?)の蘊蓄は、言い得て妙で面白かった。
・・・しかしさすがに短期間に活字読みすぎて、ちょっと疲れた。
●『精霊の守り人』~『流れ行く者』 守り人シリーズ(11冊) 上橋菜穂子
(2015年3~4月あたり)
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