2020/04/26

納戸色

納戸色(なんどいろ)とは、藍染めの一つで、緑色を帯びた深い青色のことです。赤みの強いものを「縹 (はなだ)」といい、赤みが少なくやや鼠色を帯びた色を「納戸」といいます。別名、「御納戸色」。江戸城内の納戸の垂れ幕やふろしきに用いらてきました。 藍色の濃度により濃い順で、紺、縹、納戸、浅葱 (あさぎ)、甕覗 (かめのぞき)となります。 -読み:なんどいろ-
関連色:紺、縹、浅葱、甕覗
(“伝統色のいろは”より)
私の使う色は大概が”和絵の具”なので名前が、かなり風流なものが多い
しかし、納戸色とは…と、
字面だけだと、完全に色ではなく、家の納戸しか出てこない
テストピースを作るまで想像すらできなかった
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↑焼く前の納戸色の絵の具
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焼成後のテストピース
由来を調べてみたらなるほどと思ったが、関連色にある”甕覗(かめのぞき)”の方がすごい色の名前だなとも思う
大学の特別講義で染織史家の吉岡幸雄先生の授業で手に入れた“日本の色辞典”にも、納戸色について載っていた
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だいぶ前なので、印刷の色は少し変化したかもしれないが、
そこには、
納戸色
わずかに緑味のあるくすんだ青色。江戸時代に生まれた色名と思われ、青系統の色のなかではおおいに流行り、男物の裏地、木綿の風呂敷などに盛んに用いられた。錆納戸、藤納戸、桔梗納戸、鉄納戸、納戸茶、納戸鼠など、こじつけと思われる色名も生まれるほどもてはやされた。
名前の由来には諸説ある。一に納戸(物置)の暗がりをあらわすような色。二に納戸の入口にかける垂れ幕の色によく用いられたため。三に将軍の金銀や衣服、調度の出納を担当した御納戸方(役)の制服の色であったから。いずれも定かではない。
(吉岡幸雄”日本の色辞典”の納戸色より)
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私のよく使う大好きな色に”ドンロク”という色がある
下のキリンの背中に使っている色、少し納戸色に似ているのだが
もう少し青鈍色味が強いかな
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はじめ、”ドンロク”という音に、完全に日本昔話に出てくる、髭の濃いどんくさそうな村人をイメージしていた
↓こんな感じ
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こんな男性を想像しながらいつも使っていたが、
最近、漢字を知って、なんて美しいのかと驚いた
“曇緑(どんろく)”
完全に源氏物語に出てくる高貴なイケメンの殿にモデルチェンジした
しかし、色辞典にもネットにも載っていないので、由来はわからないのだが…
日本の色名は、本当に面白く、また風流である
ちなみに、落語の”出来心”に出てくる”花色木綿”
小三治さんの落語を聞いたとき、完全に小花柄の木綿生地を想像していた
花色とは、納戸色の解説にも出てきている縹色(はなだいろ)のこと
“縹”を”花田”とも当て字で記され、そこから”花色”に略され、初夏に咲く月草(露草)で色を染めたことに由来するとする説があるらしい
ちなみに、”縹”という漢字は、色の意味の他に、”遠い。はるかな。”という意味があります
本当に綺麗な言葉だな

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