Adam and Eve "失楽園"を購入された方から、絵の意味を聞いてこられたので、
その説明があまりに長くなりそうなので
ついでに、私の超解釈の絵解きをここに書いておきます
興味がない方は、無視してください
実は、あまりに意味が長すぎて、会期中は説明をかなり省いていました
ちなみに、私は、宗教にまったく関係ないので、超超超解釈です。ご了承ください。
後ろ側の下の7つの小窓の下にはローマ数字が書いてあって、右の小さい窓(Ⅰ~Ⅶ)から順に天地創造を表していて
1日目 暗闇がある中、神は光を作り、昼と夜が出来た。
2日目 神は空(天)を作った。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、植物が出来た
4日目 神は太陽と月と星を作った。
5日目 神は魚と鳥を作った。
6日目 神は獣と家畜と、神に似せた人を作った。
7日目 神は休んだ。
(この窓の中の手は、神の手を表しています)
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ちなみに、左の端の薄紫の雲が描かれている窓(7番目の窓)の上に私のサインが隠れています |
で、その7番目(Ⅶ)の窓の薄紫の雲からイカズチと紡錘棒を持った手が出ています
今回、薄紫の雲は、神さまをしめしている事が多いのですが
イカズチは、神の怒り(により2人は楽園を追放される)、
そして、紡錘棒(糸を紡ぐための棒)をエヴァ(イブ)に渡し、原罪の罰としての楽園では必要ではなかった労役の意になります
紡錘棒は、楽園を追放されたエヴァ(イブ)が家事労働の役目を負わされた、エヴァの象徴の持ち物になります
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作品の外見は、別にこれと言って特定のモデルはないのですが、
それぞれ、神さまとかマリア様とか、天使ちゃんとかシスターとか、ご想像にお任せします
シスターのベールの様なものがちょうど、場面の切り代えになります
正面が、楽園追放後(失楽園)、背面が楽園の中
なので、7日目の窓がちょうどベールの正面側に来ているので、楽園の門の意味にもなります |
また今回は、ザクロは、殺人や血、苦難などを示す表現で使っているのですが、
紡錘棒から出た糸が、ザクロの実(正面下部)から出た胞子に巻きついているのは、この先に起こる苦難と結びついているという意味です。
(ちなみに、胞子は無性生殖をおこなうための生殖細胞なのですが、そもそもがエヴァはアダムの肋骨から生まれているので、そんなところを意味しているとかしなかったとか・・・)
諸説ありますが、人類は原罪の罰として労役と妊娠と出産の苦難が与えられます
また、
アダムとイブには、追放された後に、カインとアベルを産みますが、彼らは最初の殺人を起こします。弟のアベルを嫉妬で殺した長男のカインは、神に東の端へ追放されます(これは、カインとアベルの小箱の方に描いてあります。)
そのずっと後に三男のセトが、ようやく産まれて、それがノアなどの旧約聖書に出てくる人物の系譜を作ります。
ザクロからのぞく苦痛の顔は、その出産やカインの苦難を表しています
さて、ベールの切り代えにより、背面から続いている正面の木もまた、楽園ではたわわに実る果樹である一方、楽園の外ではただの樹であり、またそこに生えた顔が吹くラッパの様なものから薄紫の雲(神の意味)を吐き出していますが、これは、外の世界での神に似せたもの(虚偽の信仰=嘘や虚言や虚偽)や悪意など惑わせるものを示しています
その偽の雲から出ている手(天に助けを求めて手を伸ばす一組の手)と足(二人分)は、追放されるアダムとエヴァです
その偽の雲とエヴァの顔がベールの切り替え部分で対称になっています(惑わされた意)
そのエヴァをそそのかす果樹(知恵の実)から生えた顔は、エヴァをそそのかす蛇です
咥えたラッパからでている赤い実は、知恵の実であり甘い言葉でもあります
ちなみに果樹(知恵の実の樹)を林檎ではない、洋ナシやイチジクの様な形をしているのは
禁断の果実は、林檎として有名ですが、実際、旧約聖書の創世記の中には、何の果実であるかという記載はありません。
再度、背面に戻りますが、果樹から生えている複数の足は、蛇の足です
蛇はサタンとする説もありますが、エヴァをそそのかせたことにより、罰として地を這う(腹這いの)生物になります
さて、中の絵ですが、
ちょっとピンぼけていますが、右の絵は、ザクロの中から神さまが腕を引き上げています
これが、エヴァの誕生の意
で、左側(蓋側)の絵は、知恵の実の果樹から蛇と手が出ています
これは下の写真の果樹から出た二つの手と同じ形にしています
これは、エヴァと蛇の契約を意味しています(罪)
まーだいたいこんな感じです・・・長い・・・ちょっと自分が気持ち悪い・・・
7つの窓が描かれた黄緑色の物体(背面下部)は、ワニ様な顔を持っていますが、これは、ありとあらゆる生命をはぐくむ芳醇な大地であるエデンの園を意味しています
(その上を歩くサタンとされる蛇のいる果樹)
余談ですが、このシリーズももちろん紙の下描きなしなので、直書きです
時々驚かれますが、これを下描きしてから描いている方が、むしろ気持ち悪い気がする。。。
あと、"失楽園"というタイトルで、渡辺淳一の小説を思い出す団塊の世代の方がいらっしゃると思うのですが、(現に、数人そうだった)
そもそも"失楽園"は、エデンの園を追放されるという意味(楽園追放・楽園喪失)で
17世紀のイギリスの詩人のジョン・ミルトンが、旧約聖書の創世記をテーマに書いた抒情詩の"Paradise Lost"から来ています
たぶん、そこから渡辺淳一がとったのかな?日本だと、なんだかあまりに渡辺淳一の作品が話題になったから、そのイメージが独り歩きしているみたいですね。