2016/03/08

箱と昔話(ちょっぴり創作)

久々に外に出たので、連日疲れはて、ばたんきゅーだったので、いまさら更新
今日で最終日です(4時までです)

今回は、ふくちあやコテン”ということで、文字の分量がかなり多かったです(これ以外にも)

即売なので、そのままお持ち帰りいただいていました
いろいろ中抜けになっていた作品もあるので、ここに載せておきます

流し見の人が大半でしょうが、文章を楽しんでいただいた方もいて、
箱シリーズをここにまとめて載せておきます
じつは、作品よりも文章楽しんでいただけるほうが、うれしかったりするのですが・・・本末転倒です笑



『はなさか爺さん』
 

その日、嫌な予感はしていた、

大好きなご飯の時もシロはふさぎ込んでいたし

外はどんより曇っていて、おばぁさんの腰もその日は一段と痛むようだった

何か音がして、雨かと思い窓の外に目をやると、

隣のじぃさん、ひょこひょこやってくるところだった

 

 



『金太郎』
 

クマに相撲の勝負を挑もうとする人の子がいるという話は、

その森じゅうに、あっという間に広まった

動物たちは、見え透いた勝負だとひやかしに行くことにした

 



『サルカニ合戦』
 

3年以上待って、やっとたわわに実った柿の木に昇ったサルは

地面で這いつくばりこちらを見上げる蟹をいとわしく思った

どうせ、蟹の奴は昇れぬのだと、優越感から悪意がにじみ出ていた

 



『狐の嫁入り』
 

今日は、お紺が嫁入りする日

遠いお山で狐火ゆれる

晴れ間にそそぐ雨でやんわり

白無垢かくして、一行通る

 



『聞き耳頭巾』
 

その頭巾をかぶると、急に周り騒がしくなった

鳥の綺麗な鳴き声も、すべて彼らのおしゃべりに変わり

動物たちの仲間同士の合図も、意味のある言葉となって聞こえ始めた

一番驚いたのは、樹の葉擦れや枝の鳴る音さえ、話し声になっていた

静かだった森のなんと騒々しいことか!



『花嫁になったネコ』
 

猫を拾ったのがそもそものはじまりだったのだ

いつのまにか仕事を手伝ってくれて、飯まで作ってくれて

最後には、神様にお願いしに行って

かわいい娘っ子になって嫁にしてくれというんだ

信じられるか?



『カチカチ山』
 

カチカチ山のタヌキさん♪

焚き木を抱いて、燃やされてっ♪

焼けどして、辛子塗って、また明日♪

 



『桃太郎』
 

きび団子一つで、鬼退治まで協力してくれるとは…

よもや、ばぁさんが団子になにか、まじないでもかけたのか?と

桃太郎は配下の動物をこっそり見やった

 



『桃太郎』
 

どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、と

大きな桃が流れてきたのだ

それは大きく艶やかで、ねっとりした甘美な匂いをあたりに漂わせていた

喉の奥がグググっと鳴るのを感じた


『浦島太郎』
 

悪がきを蹴散らしたくらいなのに、カメはたいそう感激していたが

さすがにお礼がしたいと申し出てきたときは、耳を疑わざるを得なかった

もしもその時に暇じゃなかったら、こんな話などまともには聞かなかっただろう

 


『金太郎』
 

「この魚を捕まえればいいの?」と聞くと

周りにいた動物たちは期待で目を輝かせた

「ボクに頼りすぎだよ」と金太郎は聞こえない様にひとりごちた



『因幡の白兎』
 

うさぎは、涼しげな顔でうそぶいた

「ねーねー、サメくん、ボクが背中を跳びながら

キミらの数を数えてあげるよ。

さぁさぁ、向こうの岸まで一列にお並びよ」



『うさぎと亀』
 

カメは、はじめからわかっていた、

どうしたって走りでは、勝てないということに

でも、やって負けるのと不戦敗とは違うと思った

それに、試合はまだ始まっていないのだから

まだ、負けてはいないじゃないか

 



『カチカチ山』
 

カチカチ山のタヌキさん♪

うさぎに騙され、沼行って♪

舟のって、沈められて、また明日♪

 



『おむすびころりん』
 

ぺったんぺったんぺったんこ♪

今日のおむすび、具は何か♪

梅か、昆布か、ツナマヨか♪

ぺったんぺったんぺったんこ♪

 



『分福茶釜』
 

和尚さんが茶釜を火にかけると

とんでもなく奇妙なものが茶釜から二本生えて、飛び跳ねた

「ぎゃひんっ!!あちちちちちちちちっっっ!!」



『月に昇ったうさぎ』
 

うさぎの瞳は、泣きはらして真っ赤になっていた

「何のお役にも立てないから、せめてボクを焼いて食べてもらいます」

その場にいた誰もが、息をのんだ

 


『こぶとり爺さん』
 

その晩ときたら、飲めや歌えの大宴会だった

あまりに楽しくて、たき火の前で踊り狂い、鬼たちと大いに笑った

気づいた時には、東の空が明るんで一番鶏がなく刻になっていた

 


『一寸法師』
 

木椀の小舟は初めこそ快適だったが、

下流になって川が大きくなるとバランスがとりにくくなった

特に魚なんかが、興味津々で見にくる時なんて、

揺れのひどいことといったらない



『笠地蔵』
 

手持ちの新しい笠は、もうなかったのだ

雪はどんどん降り積もるし、家まではまだ遠かった

しかし、ひとつ足りなかったお地蔵さんのかわいそうなこと

いたたまれなくて、結局、自分の古びた笠をかぶせることにした



『はなさか爺さん』
 

満開の桜の木の上から見下ろすと

そこにいないはずのシロの姿があった

シロや、ありがとう

涙でシロの姿が霞まぬようにこらえるのに必死だった



『舌切り雀』
 

大きいつづらや、どんどこどん♪

小さいつづらで、どどどんどん♪

ごうつくばりには祟りあれ♪

謙虚なお人には幸よあれ♪

 



『猫とねずみ』
 

クロが最近、蔵の方によく行くのは気づいていた

きっと何か面白い遊びでも見つけたのかと、それくらいに考えていたのだが

その日、クロに呼ばれて蔵に行くと、驚いたことに

ネズミの親子が豆のお礼だと小判を携え待っていたのだった
 
 
 
外国の童話シリーズ
(佐賀の個展時に、作成)
 
 
 
 


『人魚姫』
 

いつも、水面を透かして見ていた愛しい人

ずっと視線を交わしたくって、触れてみたかった遠い人

今宵の嵐の海で、

初めて間近で見た彼の顔は青白く、

触れた肌は、驚くほど冷たく、

交わすべき視線は、虚ろだった

 


『雪ばらと紅ばら』
 

くまさん、くまさん、

あなたはどちらをお選びなるつもりかしら

どちらもなんてそんな優柔不断な態度はダメよ


『ピーターパン』
 

船のヘリには、もうチクタクワニが待ち構えていた

ピーターパンはニヤリと笑って、

「愛しのフィアンセがお待ちかねだよ」

と、匕首を片手に身軽に跳び上がった


『三匹のこぶた』
 

三男が、あらかたの施工計画を話すと

「そんな面倒なことをするのかっ?!」

と、長男と次男が素っ頓狂な声を上げた


『白雪姫』
 

「おや、そこのかわいらしいお嬢さん、

林檎は、いかがかね?美味しいもぎたての林檎だよ。」

白雪姫が、声の方へ振り返ると、

そこには醜い老婆が林檎を持って笑っていた
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ふくちあやコテン
2016年3月2日(水)~3月8日(火)
午前10時~午後7時
最終日は8日は、4時閉場


日本橋三越本店 本館6階 美術工芸サロン

会期中終日在廊予定



New solo exhibition of works by FUKUCHIAYAKO
(Ayako Fukuchi)

March 2 - March 8, 2016
open from 10:00am - 7:00pm
(March 8th open from 10:00am - 4:00pm)

At 6F Mitsukoshi art salon, Nihonbashi, Tokyo

FREE



″その日もやはり、落ち着かなくて
息をととのえてから、
何度目かの、子供っぽいおまじないをかけた″





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