2015/03/20

あれから、20年

 
地下鉄サリン事件、オウム真理教強制捜査から、20年も経ったということに、かなり驚く
ということは、あの事件を知らない世代がハタチを迎えたことになるわけだ
すごく不思議である。

思春期だった私は、テレビの前で、得体の知れない恐怖と同時に理解できない存在への好奇心で釘づけだった。
 


昨日もチュニジアでの悲しいテロ事件があったばかりで、
今やテロへの意識は、よその国の出来事だけでは片付けられなくなったが、まだどこかで意識が薄い
20年前は、なおのことだ
宗教とテロに疎いこの国で、この事件はかなりの衝撃だったはずである。

 
95年は、阪神淡路大震災(1/17)、オウム事件があった、
景気はどんどん悪くなっていき、なんだか先が全く見えない気がした
急に色んな事が変わっていく気がしたし、変わらなければならないと感じた

4年前の地震の時と同じように。



オウム事件がおこる数年前から、
今でも良く覚えているが、

"守護霊"や"死後の世界"など、不確かなものを媒体としたものをよくテレビ番組で扱っていて、
宜保愛子や丹波哲郎が、いろんな番組に出ていた
心霊現象やUFO、宇宙人などといった番組もたくさんやっていた
 
また、よく新興宗教もとりあげられていた
芸能人が新興宗教の広報担当だったり、マスコミ関係者に信者がいたこともあったのかもしれない
オウム以外にも、いくつかある宗教がクローズアップされていた。
宗教に疎い国民な分、物珍しかったのかもしれない
コメンテーターよろしく顔出す宗教幹部たちは、テレビ画面で不思議な構図に見えた。
 
だが、オウム事件後は、自主規制が入り、すべての心霊番組なども忽然と姿を消した
この時はじめてサブリミナル効果という言葉を知った


ずっと、事件前の番組だと思ていたのだが、
占い師や霊媒師を使い超能力捜査で未解決事件や行方不明人、家出人を捜すなどの番組もあった
あるものは、白眼を剥いた腹話術の人形の口をパクパクさせて、シャーマンとなり答える
あるものは、FBIの捜査協力をしているといい、通訳をつけて来日までしていた

ひどく不気味で怖かった
それになんだか違和感があり、気分が悪くなったのを覚えている
だが、これは2002年~2006年に放映されていたものだったらしい


 
自主規制していたメディアに
その手のバラエティ番組や著名人が増えはじめたのが、事件から約10年後だった
 
以前のようなおどろおどろしさよりも、きらびやかなリッチな雰囲気を前面に出した"スピリチュアル系"と呼ばれる人たちが出てきた
江原さんや細木さん(この人は占いか…)などお金持ちそうな人たちが台頭してくる
"スピリチュアル"や"前世"、"オーラ"という言葉がやたら画面で踊っていた

スピリチュアルという言葉は、その後、すごい勢いで日本で浸透したと思う
特に、20代から40代の女性を中心に、心のよりどころのようにさえ見えた
 
そのせいか、霊視や霊感商法が、問題視されるほど、流行り出した
宗教よりも手軽だし、疲れていたり悩みや迷いの多い現代人に、もっともつけ込みやすく儲かる商売であると(腹黒い私は)思ってしまう…

そして、現に、オウムしかり新興宗教の勧誘方法が正に、スピリチュアル商法と酷似していたりするので、宗教か否か見分けづらくもある

視聴者の意識やスピリチュアル商法の相談件数の急増と、オウム事件の前例もあり新聞報道や識者からの批判があり、マスコミによって作り出されたスピリチュアル系のブームは、またテレビから消えることとなる

実は、こんなに流行っていたのに、これらの番組を全く見ていなかったので、内容は詳しくは知らないのだが、
周りにスピリチュアル好きな人がやたらと多いので、なんとなくはわかる

他人の趣味や信仰については、なんとも思わないが
自分が興味なかったのは、このブームも名前を変えただけで、以前と何ら変わらないと思ったので、小さい頃に感じた違和感のまま、あまり好きではなかったのだと思う
(宗教に関しては、むしろ学術的に興味があるのだが)

 
2011年、東日本大震災があり、たくさんの方が悲しい想いをされた
多くの人が亡くなり、今も受け入れ難い現実と戦い続けている人が、たくさんいると思う
 
震災後は、魂というキーワードが取り上げられている気がする
地震後、お墓がなくなってしまった人やお参りに行けなくなってしまった人
また、ご遺体が見つからない遺族の方など、本当につらい思いをされていることだろう。
先祖信仰が強い国でもあるので、お墓を守り、供養することで、お墓が埋葬された魂との対面の場所のように、なんとなく考えている人が多い気がする。
それだからこそ、そういう事が叶わなくなってしまったことは、よりこたえるのだろう。

何年か前に大ヒットした歌の"千の風になって"では、魂はお墓などの一箇所にはおらず、自由に飛んでいたり、自分の近くにいたりというが、
この思想は、地震後の感覚に近い気がする。

伝統宗教者などの話によると、近親者をなくした方などから、霊体験をされたり、そのような相談をされることが増えたのだそうだ。
心のケアを最優先に考えた時に、霊や不可思議なものへ肯定とも否定ともつかない観点でケアしていくことが進められているそうだ

そういったこともあり、霊体験が学術的に研究され、それをメディアでも取り扱うようになった

ちょうどオウム事件以前と少し似ているが、今回は、識者や高齢層が中心になってこの分野を取り上げているらしい。



メディアとブームは、密接に関係している
マスコミは、不特定多数の人を簡単に扇動できてしまうのが、とても怖いと思う
だからこそ、こういった分野は取り扱いがとてもセンシティブなんだと思う

今日、事件から20年目を迎えたことにより、各局で、オウム事件を取り上げている
この報道を見て、事件以降に生まれた世代は何を思うだろうか
昔に起きた、奇怪な事件だと思うのだろうか

主犯格はほとんどが捕まっているにもかかわらず、この事件は謎が多く、刑の執行もされておらず、まだまだ未解決のままである
たくさんの被害者の方たちは、肉体的にも精神的にも未だに苦しんでいる

オウム事件は、とても恐ろしく、また、自分には興味深くもある
特集ニュースはつい追ってしまうし、事件関連の書籍も読んでしまう


被害者の方々のために、せめても事件ができるだけ早く解決することを心から祈ります
 



 

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